研究課題
基盤研究(C)
本研究では、英語史における不定冠詞の出現と発達、不定冠詞を含む後置属格の出現と発達について歴史コーパスを用いてそれらの各時代における分布を調査し、そこから浮かび上がる言語事実に対して生成文法理論の枠組みを用いて考察した。調査結果より、不定冠詞が出現した時期と後置属格が出現した時期はほぼ一致しており、英語の限定システムが成立し始めた時期に後置属格が出現していることが明らかになった。また、これらの発達に関して、格付与体系の変化に基づきRP構造を採用して後置属格が出現した過程を分析した。
英語学
不定冠詞が古英語の数詞anから発達したことはよく知られているが、実際にコーパスを用いて不定冠詞が出現・発達した具体的時期を明らかにされてこなかった。本研究では、不定冠詞の出現した時期と十分に冠詞としての地位を築いた時期を明らかにすることができた。また、本研究は生成文法の理論的枠組みに基づいているため、人間の脳における言語能力の解明を目指す生成文法のプロジェクトに貢献するものである。