研究課題/領域番号 |
19K00755
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
立田 夏子 弘前大学, 教育推進機構, 准教授 (50364831)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 外国語学習 / 日本人英語学習者 / 自己調整学習 / 自律学習 / CAN-DOリスト |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、大学英語教育におけるCAN-DOリスト活用の諸過程を、自己調整学習の観点から理論的に検証することにより、日本人英語学習者が英語学習における自律学習を促進させるための要因を解明し、「自律的英語学習モデル」を構築することである。本研究により、グローバル社会の中で成功の鍵の一つである、「英語学習における自律学習を継続的に促進させるための要因の特性は何か」という問いに対する答えを解明する。 2021年度は、2020年度同様に、COVID-19の影響で本学全体にメディア授業が導入され、一貫して対面授業であった2019年度までと同一の研究・調査条件下で基礎研究を続行することが不可能であった。そのため、2020年度に引き続きこれまで紙ベースで行っていたCAN-DOリストの活用をWeb上で行う方法を検討したが、既に2022年に紙製のポートフォリオを出版する予定があったため、2021年度前期末にその検討は中止した。一方で、CAN-DOリストにも取り入れる学生が多かったGraded Readers(GR)を読む活動による効果を、自己調整学習の観点から検証した。その結果、(a)学生は意欲的にGRを読む活動に取り組んだ、(b)前期末にはGRを読む活動を通して英語学習へのモチベーションが向上した、(c)後期でも月1回の授業内活動とSelf-studyとしてGRを読む活動を取り入れることで、後期末までGRを読む活動に関する学生の自己調整学習が促進された、(d)学生は、GRを読む活動を自律的な英語学習に取り入れることは有効だと感じていた、この4点が明らかになった。2020年度の研究業績としては、これまでの研究結果に関する口頭発表が3回と掲載論文3本が挙げられる。2021年度に実施した研究により、今後より多角的に自律的英語学習に関する研究を進めていくことができると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2021年度は、2020年度同様にCOVID-19の影響で本学ではメディア授業と対面授業が交互に行われた。そのため、2021年度は2019年度まで同様のアンケート調査とリフレクション活動を実施することは不可能であり、2019年度までと同一の研究・調査条件下で研究を続行することができなかった。研究・調査条件を統一して信頼性が高い研究結果を得るために、2021年度に実施予定であった研究は2022年度に実施し、研究期間を1年延長して4年にした。
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今後の研究の推進方策 |
2022年度前半は、基礎研究を完成させる。基礎研究の残りの(1)CAN-DOリスト作成、(2)“I CAN” List達成要因特定(学習者の観点)を実施し、同時に応用研究を開始する。応用研究では、初めに、(1)教育実践:基礎研究にて作成したCAN-DOリストの中から学習者自身に10個のディスクリプタを選択させ、引き続きポートフォリオを活用した教育活動を行う。CAN-DOリストに関する教育活動は、申請者のこれまでの研究・教育実践から得られた有効と思われる教育活動と、基礎研究(2)のリフレクション活動とアンケート調査を基に、予見段階から遂行段階にかけてのプロセスを中 心に行う。次に、(2)“I CAN” List達成要因特定(教育者による教育実践の観点):学期末にポートフォリオを活用してのリフレクション活動とアンケート調査を実施する。これらの結果とCAN-DOリスト達成度の自己評価の変化を指標とし、応用研究(1)による教育実践の有効性を検証する。
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次年度使用額が生じた理由 |
COVID-19の影響で研究が遅れており、また、参加予定であった学会がキャンセルや延期、またはオンライン開催になったために、次年度使用額が生じた。2022度は、対面で開催される学会に参加予定であり、また、論文投稿費用が発生するため、未使用金額が発生する可能性は低い。
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