本研究の目的は、大学英語教育におけるCAN-DOリスト活用の諸過程を、自己調整学習の観点から理論的に検証することにより、日本人英語学習者が英語学習における自律学習を促進させるための要因を解明し、「自律的英語学習モデル」を構築することである。 2022年度は、2020年度と2021年度ほどではないが、COVID-19の影響があり、一貫して対面授業であった2019年度までと同一の研究・調査条件下で基礎研究を続行することができなかった。しかしながら、本研究課題を完了するため、対象を研究実施計画で示した4技能(Listening/Reading/Speaking/Writing)から、2021年度の研究実績に基づいてReadingの1技能に変更し、研究を遂行した。2022年度前半は、(1)CAN-DOリスト作成、(2)“I CAN” List達成要因特定(学習者の観点)を実施し、同時に応用研究を開始した。応用研究では、初めに、(1)教育実践:基礎研究にて作成したCAN-DOリストの中から学習者自身に10個のディスクリプタを選択させ、引き続きポートフォリオを活用した教育活動を行った。CAN-DOリストに関する教育活動は、申請者のこれまでの研究・教育実践から得られた有効と思われる教育活動と、基礎研究(2)のリフレクション活動とアンケート調査を基に、予見段階から遂行段階にかけてのプロセスを中心に行った。次に、(2)“I CAN” List達成要因特定(教育者による教育実践の観点):学期末にポートフォリオを活用してのリフレクション活動とアンケート調査を実施した。これらの結果とCAN-DOリスト達成度の自己評価の変化を指標とし、応用研究(1)による教育実践の有効性の検証を開始した。本研究の研究期間全体を通して、Readingに関する「自律的英語学習モデル」の初期モデルは構築することができた。
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