(1)アンケート調査1回目:日本の若者たちが「アセアン」という非欧米英語圏を英語学習や異文化理解の場として認識し渡航していることが確認できた。しかし同時に、そうした新たな選択は「ネイティブ英語」を目標モデルとする従来の英語学習の継続に矛盾するものではないことも確認した。 (2)アンケート調査2回目:上記のアセアン準英語圏留学経験者への調査同様に、日本にてフィリピン人英語教師からオンライン英会話レッスンを受講している学習者たちに関しても、強い「白人英語ネイティブ」志向が確認できた。なお、受講動機として、女性の場合は海外旅行や「趣味・習い事」という回答が多かった。 (3)アンケート調査3回目:上記の調査で明らかになったジェンダーという要素をさらに追究するために、女性たちの英語学習受講目的について調べた。その結果、女性たちは様々な受講パターンから欧米人とフィリピン人双方から英会話レッスンを受講していること、ただし、受講目的が「趣味」であったとしても「ネイティブ英語」を目標モデルとする従来の英語学習観を維持していること、などが明らかとなった。 (4)アンケート調査4回目:上記の女性に焦点を当てた研究をさらに進めた。日本の若い女性の英語学習動機は「白人社会・男性へのあこがれ」であるという説・論・イメージが根強いが、本調査の結果、フィリピン人(女性)講師によるレッスンを受講する日本人女性への調査に加え、中高年女性を加えた世代別の調査の重要性が明らかになった。 (5)文献調査:これまでの調査により、外国人英語講師から英語を学ぶ機会の多様化と(欧米人英語ネイティブを頂点とする)階層化に対して、英語学習者たちが当然視していることが明らかとなった。こうした価値観が日本の英語教育現場でも再生産されているのかどうか確認するため、ALTたちの採用に関する文部科学省や関連団体の立場について調査をした。
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