研究課題/領域番号 |
19K00806
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研究機関 | 創価大学 |
研究代表者 |
藤本 和子 創価大学, 文学部, 教授 (20350499)
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研究分担者 |
黒田 正博 岡山理科大学, 経営学部, 教授 (90279042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 英語法助動詞 / 英語法副詞 / 学習英文法 / コーパス言語学 / 学習指導要領 |
研究実績の概要 |
2019(令和元)年度の研究内容と実績は以下の通りである。 1.大学の長期休暇期間を利用して、英国ランカスター大学に客員研究員として滞在し、研究協力者である同大学教員Willem Hollmann氏と、本研究の内容と計画を確認し、モダリティに関する言語理論や、言語習得理論などについてディスカッションを重ねながら、モダリティを表す助動詞と副詞のコーパス検索項目、助動詞の意味分類カテゴリーなどについて検討するとともに、コーパス用例分析を行った。同大学滞在期間中は、コーパス言語学リサーチグループ、データサイエンスリサーチグループなどの研究会にも参加し、コーパスデータ収集方法や、データの特性と研究目的による統計分析方法などについて学内外の知見を得ることができた。 2.アカデミックライティングにおける日本人大学生の物事に対する確信の度合いを表す助動詞と副詞の使用傾向について、コーパス分析に基づく研究成果を国際会議において発表した。英語母語話者と比較して、日本人英語学習者は、これらの助動詞や副詞を十分には使用できていない。一方、特定の表現や意味を頻繁に使用する傾向もあることから、今後、さらに、母語と英語使用の関係など、背景にある要因についても探り、指導内容の提案をしていきたい。 3.頻度を表す副詞のモダリティ表現としての役割に注目し、日本人英語学習者のアカデミックライティングにおけるこれらの副詞の使用の特徴をつかむべく、日本人英語学習者と英語母語話者コーパスを比較分析した。頻度を表す副詞のモダリティ表現としての役割を学習者に指導することは、学習者が物事に対する態度を効果的に表現するのに有益であると考える。コーパス分析結果に基づき、断言を避けるための頻度を表す副詞の役割について学習者の理解を促進することや、話し言葉と書き言葉の違いの指導と適切な英語表現提示の必要性について論文にまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
確信の度合いを表す助動詞と副詞や、頻度を表す副詞について、日本人英語学習者のアカデミックライティングコーパスと英語母語話者の学術的文章コーパスを比較分析し、日本人学習者のこれらの助動詞と副詞の使用の特徴をつかみ、ここまでの研究の成果を発表することができた。助動詞と副詞の用法について指導内容を提案するために、日本人英語学習者のこれらの表現の使用傾向の原因について、モダリティ表現の特性や母語の影響などの観点から、研究協力者のHollmann氏と研究討議を重ね、考察することができた。
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今後の研究の推進方策 |
英語のモダリティ表現である助動詞や副詞の意味カテゴリーについては、これまで様々に論じられている。英語母語話者コーパスの用例中のこれらのモダリティ表現の意味用法分析には、かなりの時間とエネルギーが必要とされる。今後、さらにコーパスで検索する項目と意味を広げていく。研究分担者の岡山理科大学黒田正博氏のデータ分析の協力を得て、データから見えてくるものの背景にある理由を言語習得や教材論などの観点から、さらに探っていきたい。モダリティ表現としての助動詞と副詞について、教育的な配慮をしながら、どのような意味や用法を、何に留意して指導するとよいかについてのさらなる提案につなげていきたい。
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