研究実績の概要 |
本研究の目的は,英語学習者が多読学習用リーダー (Graded Reader, GR) などの学習者用の読み物から英語母語話者向けの一般書や研究に必要な学術書 Authentic Text (AT) が読めるレベルになるまでの架け橋になるような資料の発掘やそれを用いた指導法の確立である.今年度は,本研究の2方向からアプローチの一つである,実証的アプローチの調査準備を主に進めた.様々なツールを利用して,Authentic Text (AT) の「難しさ」の要因を明らかにするために行った調査の結果を元に,学生の「難しさ」認識に繋がった可能性があると判断された文法項目,文の構造,表現などを,意図的に操作した文章を作成した.データの分析にはAntConc, AntWordProfiler, RANGE, Microsoft Word「読みやすさの評価」などのツールや,BNC,COCAなどの汎用コーパス,またBNC wordlist, The BNC/COCA word family lists, general service list, academic word list, COCA ngram listなどの語彙表を使用した.また,作成したその文章を読んだ被験者の理解度を測る質問の作成,事後アンケートも作成した.多読学習を一年間行った学生(約200名)を対象に上記の理解度テストを実施する前に,パイロット・スタディとして少人数の学習者を対象に理解度テスト・アンケートを行い,実際にどの要素が理解を妨げているのかを分析し,テストへ修正を加えた.同時に,多読学習に他に組み込む可能性のあるリーダー・シリーズとして,成人向け再教育用図書(Easy Reade for Adults),有名作家による子供のための小説などの種類を検討した.
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