研究課題/領域番号 |
19K00897
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
西谷 敦子 京都産業大学, 共通教育推進機構, 教授 (50367942)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 処理可能性理論 / 英文法 / 復唱 / 筆記試験 |
研究実績の概要 |
大学生32名を対象としたパイロットスタディの結果を論文にまとめて発表した。その内容をまとめると以下の通りである。
処理可能性理論ステージ2から6に分類される文法項目22項目を2回の筆記試験および1回の口頭復唱試験を用いてその難易度を比較検証した結果、(1) 筆記試験における文法項目の難易度は処理可能性理論が提示している難易度とは異なるものであった。(2) 口頭復唱試験における文法項目の難易度も処理可能性理論が提示している難易度とは異なるものとなった。(3) 筆記試験における文法項目の難易度と口頭復唱試験における難易度も異なるものであった。処理可能性理論は自然な会話の中でその文法項目が正しく使われるようになる順位を提示しているため、筆記試験による難易度と異なるであろうことは予想できたし、筆記試験と口頭試験における難易度が異なるであろうことも予想できた。その一方で、口頭復唱試験における難易度が処理可能性理論と違ったことは先行研究に沿わない結果であったが、同時に人工的なデータ(口頭復唱試験)と自然なデータ(処理可能性理論)が一致したという先行研究にも疑問を投げかけるものとなった。さらに、口頭復唱試験において、文法的に正しい文章を復唱させた場合と文法的に間違っている文章を復唱させた場合を比較すると、間違っている文章を復唱させた場合の難易度と筆記試験における難易度の相関性が高いことがわかった。従来、筆記試験は明示的知識を使用し、口頭試験は暗示的知識を使用すると言われているが、今回の参加者は英語を重点的に学んでいる学生が多かったこともあり、筆記試験も暗示的知識を用いた可能性があると結論づけた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
当初の予定では、パイロットスタディの結果をもとに問題点を改善した試験を作成することになっていたが、パイロットスタディの結果を論文にまとめる作業が予想以上に時間を要したこと、また、本研究とは別の研究を急遽同時進行で行うことになり、そちらの学会発表などもあったため、新たな試験作成までには至らなかった。
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今後の研究の推進方策 |
パイロットスタディで明らかになった問題点を改善した試験を新たに作成する予定であったが、まずはその前にパイロットスタディで使用したものと同じ試験を非英語専攻の学生に実施することから始めたい。パイロットスタディに参加したのは英語を専門的に学ぶ学生であったため、非英語専攻の学生と比較するためにはまずは同条件、すなわち悪問もそのままに同じ試験を実施する必要がある。その比較検証をした後、問題点を改善した試験を作成する作業に移る。
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次年度使用額が生じた理由 |
本課題とは別の研究課題に急遽取り組むこととなり、本課題の進行に遅れが生じたため、当初購入する予定だった物品が購入できなかった。新たなデータ分析に使用するためのスキャナー、ICレコーダーや書籍などを購入する予定である。
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