本研究は現代ロシアの美術館が文化外交の中で、いかにロシアの歴史的イメージの創出に寄与しているかを明らかにして、「記憶の政治」研究の深化を図ることを目的とした。研究期間を通じて、コロナ禍とウクライナ戦争によるロシア渡航の困難のため、もともと構想していた現地でのミュージアム調査を実施にもとづく研究は遂行できなかった。だが、戦後日本でのロシア・ソ連観の形成と、現在のウクライナ侵攻下でロシア、ウクライナの両者がとりあげる「伝統」の形成について、それぞれに関係するミュージアムの展示とコレクション形成から調査と分析を進めることができた。
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