研究課題
基盤研究(C)
九州の地域権力の「外交」を比較検討すると、大内氏の存在が際立つ。中世後期日本の諸勢力の異国通交における姿勢とその特質の地域的差異は、伝統的な外交慣習や対外観の影響の強弱や、異国との物理的な距離の遠近が大きく影響していた。朝鮮や琉球との異国通交という指標でみれば、大内氏は幕府体制に依存することなく、その埒外で活動できたのであり、幕府周辺の有力大名の活動は幕府体制の範疇に留まっていた。
東アジア交流史
本研究は、中世日本対外関係史の分野、とりわけ地域権力による独自の異国通交が展開した中世後期に焦点を定め、諸勢力の外交活動を個別にあきらかにするのみならず、諸勢力の外交活動同士を俯瞰的に比較検討することで、微視的・巨視的な両面からとらえるという新たな研究視角を提供した。とりわけ、当該期もっとも積極的な異国通交を展開した西国大名については、その特質を探る上で、「外交」活動の有無が大きな指標となり得ることを指摘した。