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2021 年度 実施状況報告書

日本古代の都鄙間交通と地方官衙

研究課題

研究課題/領域番号 19K00980
研究機関東北学院大学

研究代表者

永田 英明  東北学院大学, 文学部, 教授 (20292188)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード官衙 / 流通 / 正税帳 / 逓送
研究実績の概要

本研究では、日本古代の地方官衙の役割・機能を都鄙間交通との関わりという観点から再検討することを目的とし、(A)正倉院文書の正税帳をはじめとする律令公文類の再検討、(B)都鄙間交通に使用される文書の検討、(C)出土文字資料の情報収集・分析、(D)地方官衙遺跡及びその周辺地域の現地踏査による景観復原、という四つの柱を設定し進める計画であった。
3年目(2021年度)は、1・2年目の作業で不十分におわった作業を補いつつ、(A)の公文類の記事について本格的な分析検討を進め、天平期正税帳の記事の構造的分析をおこない、国府や郡家における逓送・供給、使者への接遇の実態について具体的な分析・検討を進める予定であった。同時に(D)についてもこの(A)の作業にかかる地域を設定して現地調査をおこない、さらに1~3年次の研究をふまえた形で、古代地方官衙と古代国家の交通政策とのかかわりについて検討をおこなうこととしていた。
実際には、Aの作業については、前年に引き続き作業を進める一方で、官衙における物資蓄積・輸送と流通経済の関わりについての検討へと関心を発展させ、そうした観点から、とくに米・穀や布などの繊維製品の生産・輸送・流通と官衙・城柵の関係性について多角的な検討を実施し成果を得ることができた。一方で Dについては、前年同様社会的状況から遠方の調査が実施できず、かわりに、資料保存機関における原史料調査として宮内庁書陵部で『日本後紀』や『日本逸史私記』などの調査を実施した。また本研究に関連する研究成果として、古代東北の城柵・官衙の機能を流通経済の視点から捉え直す研究をおこない、論文として公表した。
しかしながら、研究の総括は、当初予定の3年間で終了させることができず、研究実施期間を2022年度にも延長しておこなうこととした。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

特に正税帳など正倉院文書の検討は順調に進み、また関連成果の論文1本を執筆することができたが、遺跡等の調査・情報収集・現地調査については、新型コロナウィルスの感染拡大などの影響で実施することができず、また学生アルバイトの雇用も、同じく社会状況の影響で十分に行うことができなかった。研究の総括も遅れ、その結果当初予定の3年間で研究を完了させることができず、「やや遅れている」との評価に到った。

今後の研究の推進方策

2022年度は、過去3年間の成果を踏まえつつも、Aの問題を中心に総括を進め、3年間で完了することができなかった研究の総括をおこなうこととする。資料整理などの作業は学生アルバイトを活用して早急に終わらせ、また前年度実施できなかった遺跡等の現地調査については、当初予定の遠方への調査にこだわらず進めたい。

次年度使用額が生じた理由

旅費に関しては、一昨年実施できなかった関連遺跡の現地調査が新型コロナウィルス感染拡大に伴い実施できず残額が生じ、昨年度もその分を追加執行することが社会事情で困難であった。また人件費についても、新型コロナウィルスに伴い学生の継続的な登校が困難となり、適切な時期に作業が実施できず、残額が生じた。次年度においては、今年度未執行となった分も含め、若干の調整をおこないつつも原則として当初の予定通り費目を変更せず執行したいと考えている。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2022

すべて 雑誌論文 (1件) (うちオープンアクセス 1件)

  • [雑誌論文] 古代陸奥出羽の穀米と布-流通経済の視点から2022

    • 著者名/発表者名
      永田英明
    • 雑誌名

      歴史と文化

      巻: 65・66 ページ: 105-124

    • オープンアクセス

URL: 

公開日: 2022-12-28  

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