本研究により、モンゴル人民政府とは別に、ソ連とモンゴル人民政府に依らない国家建設を目指すモンゴル人の活動があったことが解明された。これは、モンゴル人民政府による国家建設という単純な歴史的展開を前提とする従来のモンゴル近現代史研究の傾向に対して、国家建設の重層的な展開という新規の視点を与える学術的意義を持つ。また、1920年代の東北アジアの政治情勢をモンゴル東部地域という地域概念から検討する本研究の成果は、20世紀の東北アジア史研究に新たな地域的枠組みを提示するという学術的意義がある。これら学術的意義を通じて、東北アジアを理解しうる地域、民族の新たな枠組みを提示した点に本研究の社会的意義がある。
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