本研究課題は、西夏王国の西夏語で書かれた行政文書や法令のなかから、西夏王国の地方官庁に関わる記述を抽出、解読し、地方官庁がどのような業務を行っていたのか、西夏が地方をどのように支配しようとしていたのかを目的とした。西夏は地方を十数の地区に分け、それぞれに監軍司とよばれる官庁を置き、さらに複数の「経略」とよばれる官庁を設置していた。行政文書や法令の条文を解読したところ、経略は近隣の複数の監軍司から中央政府へ出された軍官の人事に関する報告や問い合わせを取り次ぎ、それに対する中央政府からの指示を各地の監軍司に伝達しており、経略が中央と地方の監軍司とを結ぶ部署として機能していたことが明らかになった。
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