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2022 年度 研究成果報告書

ロシア帝国はどのような意味で「専制」国家だったのか

研究課題

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研究課題/領域番号 19K01056
研究種目

基盤研究(C)

配分区分基金
応募区分一般
審査区分 小区分03040:ヨーロッパ史およびアメリカ史関連
研究機関岡山大学

研究代表者

吉田 浩  岡山大学, 社会文化科学学域, 准教授 (70250397)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード農奴解放 / 大改革 / 帝政ロシア / アレクサンドル2世 / クリミア戦争 / ロシア経済史
研究成果の概要

(1)農奴解放や大改革がおこなわれたきっかけについて、従来はクリミア戦争の敗北を重視する見解が主流であったが、クリミア戦争後の経済政策の失敗が決定的要因であることを明らかにした。すなわち1857年7月20日の公債金利の引き下げが致命的な金融政策となり、国家破産が現実味をおびた。そのため農奴を抵当とする国家貸付が廃止されることにより、地主貴族は農奴解放の実施を受け入れた。
(2)農奴解放について皇帝自身は自らのアイディアを必ずしも有しておらず、状況的に実施が決まり、具体案作成は専門家委員会に委ね、貴族への説得や土地なし解放案から土地付き解放案への変更など重要な節目においてイニシアティヴを発揮した。

自由記述の分野

近代ロシア史

研究成果の学術的意義や社会的意義

ロシア皇帝が農奴解放を決意した理由について、クリミア戦争の敗北による国家体制の刷新の必要性が強調されてきた。しかしそれは敗北のインパクトを2つの世界大戦と同等に評価する誤解に基づいている。本研究は史料に基づき、クリミア戦争の敗北は軍の近代化や財政赤字解決のための経済改革を必然化したが、農奴解放と直接関係なく、前治世からの積み重ねの延長上にあることを示した。農奴制の廃止は貴族の特権を剥奪することを意味するので、専制の基盤を揺るがすものである。そのきっかけを明らかにすることは、専制や独裁権力が自らの体制や権力基盤を修正するのはどのような場合にありうるのかという現代的課題に歴史的実例を提供する。

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公開日: 2024-01-30  

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