研究課題/領域番号 |
19K01078
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
渡邊 昭子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20293144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 改宗 / カトリック / プロテスタント |
研究実績の概要 |
今年度は研究動向の調査と、ローマ・カトリック文書館での史料調査を中心に進めた。 まず、本研究の位置づけを確認するために、ハンガリー国立図書館等において文献を調査した。近年、宗教・教会をテーマにした近代史研究は現地でも多くみられる。だが、改宗に絞った研究では、コンラード・ミクローシュをはじめとした、ユダヤ教徒のキリスト教への改宗の研究が中心的であることが確認できた。文献調査としては、この他に、史料調査をおこなうエゲルの都市史ならびに教会史に関する文献を調査し入手した。 史料調査としては、エゲルにあるローマ・カトリックの教会文書館に赴き、まず、「改宗」の名で分類された文書の状況と閲覧可能性を調査した。ネット上の目録では1804年から1923年までのものが示されているが、1770年代から1804年までの文書も所蔵されていることがわかり、そこから閲覧を開始した。また、1923年より後の文書も閲覧可能であることがわかり、当初の計画より長い期間で検討できることが明らかになった。 史料の分析としては、18世紀末から19世紀初頭にかけての改宗文書の一部を検討することができた。現時点で分析できた史料のほとんどは、カトリックへの改宗希望者による請願、あるいは改宗希望者への聞き取り記録である。当時の改宗希望者には近隣地域のプロテスタント、とくにカルヴァン派が多く、また、ユダヤ教徒と正教徒も若干ながら含まれる。当時の司教だった大貴族エステルハーズィ・カーロイの財力を頼り、改宗時や改宗後に職や施しを求める事例も頻繁に見られることが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
以下の2点のために進捗状況はやや遅れていると判断する。 第一に、18世紀末から19世紀初頭の史料が保存されていることがわかり、その分析から始めたところ、ハンガリー語だけでなくラテン語の文書が多く含まれ、読解に時間がかかっているためである。 第二に、ハンガリーで入国制限措置がとられたため3月に渡航できず、予定していた資史料収集を延期せざるをえなくなったためである。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き資史料の収集と分析を進める。ハンガリーへの入国制限、現地の文書館・図書館の閉鎖のために、新たな資史料の入手が困難になる可能性がある。その場合には現在手元にある資史料をもとに、時代を絞り込んだミクロな分析を中心に進めることも考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
ハンガリーへの入国制限のため、3月に予定していた現地調査を取りやめざるをえなかったため。今年度に渡航が可能になった時点で使用する計画である。
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