研究課題/領域番号 |
19K01078
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
渡邊 昭子 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20293144)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | カトリック / 離婚 / 再改宗 |
研究実績の概要 |
本年度は、前々年度までに収集してきた史料の読解と分析を中心に研究を進めた。 新型コロナウイルスの感染拡大のため、本年度も現地での調査を見送らざるをえなかった。このため、主として、以前に収集してきた文書史料の読解と分析を進めた。とくにエゲルのローマ・カトリック教会文書館にある改宗関連の史料に焦点を絞り、本年度は19世紀の文書を読み進めた。19世紀にはカトリックから他宗派への改宗が国家によって認められるようになり、他宗派、とくにカルヴァン派への改宗が徐々にみられるようになった。離婚と再婚のためにプロテスタントへ改宗する事例も徐々に増えている。前年度の検討において、18世紀後半にはカトリックへの改宗がほとんどだったこと、そして離婚と再婚のための改宗もそこに含まれていたことを明らかにしており、時代による変化を確認できた。19世紀における離婚と再婚のための他宗派への改宗は、以前の研究でプロテスタントの側の史料によって明らかにした傾向と一致することも確認できた。一方で、カトリックへの改宗や再改宗の事例も決して少なくないことも判明した。そのため、カトリックへの改宗、あるいは再改宗に注目して個々の事例の分析に取り組んだ。とりわけ再改宗の事例で長文の嘆願書を発見し、そこから、個人の生にとって宗教や教会がどのような役割や意味をもっていたのかを検討した。これについては2022年度の西洋史学会小シンポジウムで公表する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
コロナ禍のため現地調査ができなかったが、以前に入手した史料の読解を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
引き続き資史料の収集と分析を進める。新型コロナウイルスならびにウクライナでの戦争のためにハンガリーへの渡航が困難である場合には、現在手元にある資史料と、インターネット上でみることができる資史料をもとに、内容を絞り込んだミクロな分析を中心に研究を進める。並行して、宗教の世界史の研究動向を明らかにするために、英語文献の翻訳出版を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウイルスの感染拡大のため、予定していた現地調査を取りやめざるをえなかったため。今年度は、渡航が可能になった場合は現地調査に使用し、困難な場合にはインターネットでの調査と資料整理にあてる計画である。
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