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2022 年度 実施状況報告書

近代ハンガリーにおける改宗―個人から見る宗教・教会の意味と役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K01078
研究機関大阪教育大学

研究代表者

渡邊 昭子  大阪教育大学, 教育学部, 教授 (20293144)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード宗教 / 教会 / 改宗 / 離婚 / ハンガリー史 / 世界史
研究実績の概要

本年度は、前年度に引き続き、エゲルのローマ・カトリック教会文書館にある19世紀の改宗関連の文書を分析した。19世紀には、国家が、教会間関係や婚姻に関して法令を整備し、世紀末には義務的市民婚の制度が定められた。カトリック教会はそれまでの権限を失っていくが、新たな状況に対応して制度を整えていく。史料を読み解くなかで、このような制度的変化と人びとの生活との関わりを本年度の検討テーマに設定した。
研究成果は、西洋史学会の小シンポジウム「近代ヨーロッパのカトリシズムと生活世界」で報告し、中野智世ほか編『カトリシズムと生活世界』で公刊した。同書は、近代ヨーロッパにおける宗教の役割を、人びとの生活世界に着目して明らかにしようとする研究である。執筆担当は第二章「B・ガーボルの苦悩―一九世紀ハンガリーの離婚と(再)改宗」である。検討対象としたのは、カトリックからカルヴァン派へ改宗して離婚と再婚をおこなったが、カトリックへの再改宗を望んだ人物である。再改宗が地元の司祭に認められず、大司教にあてて長文の嘆願書を送ったことから、文書館にこの嘆願書が残されている。その分析から、本人にとっての信仰、カトリック教会への期待、宗派帰属の意味などを読み解いた。さらに、他の事例とも比べながら、婚姻が破綻したカトリックの人びとが世俗の制度と教会の制度を利用しながらも、ときに二つの制度の間でジレンマを抱えて生きていかざるをえなくなった状況を明らかにした。
このようなミクロな研究と並行して、宗教や教会の歴史研究をより広い視点から考察するため、ルートレッジ社の世界史のシリーズから『世界史のなかの宗教』の翻訳を進めてきた。これは本年度に翻訳が完成し、ミネルヴァ書房より『宗教の世界史』として公刊された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

コロナ禍とウクライナでの戦争のため、本年度も現地での調査を見送らざるをえなかったが、以前に入手した史料の読解を進めて論文にまとめることができ、また、『宗教の世界史』の翻訳など、より広い視野での研究も進めることができたため。

今後の研究の推進方策

今後は、20世紀における改宗の状況について、資史料の収集と分析を進める予定である。

次年度使用額が生じた理由

コロナ禍ならびにウクライナ戦争のために現地調査ができなかった。次年度に現地調査をおこなう予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2023 2022

すべて 学会発表 (1件) 図書 (2件)

  • [学会発表] B・ガーボルの苦悩――19世紀ハンガリーの離婚と(再)改宗2022

    • 著者名/発表者名
      渡邊昭子
    • 学会等名
      日本西洋史学会第72回大会小シンポジウム3
  • [図書] カトリシズムと生活世界2023

    • 著者名/発表者名
      中野 智世、前田 更子、渡邊 千秋、尾崎 修治
    • 総ページ数
      320
    • 出版者
      勁草書房
    • ISBN
      9784326200641
  • [図書] 宗教の世界史2022

    • 著者名/発表者名
      ジョン・C・スーパー、ブライアン・K・ターリー、南塚 信吾、秋山 晋吾、渡邊 昭子
    • 総ページ数
      288
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      978-4-623-09424-0

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公開日: 2023-12-25  

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