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2023 年度 実績報告書

近代ハンガリーにおける改宗―個人から見る宗教・教会の意味と役割

研究課題

研究課題/領域番号 19K01078
研究機関大阪教育大学

研究代表者

渡邊 昭子  大阪教育大学, 教育学部, 研究員 (20293144)

研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード改宗 / 宗教 / 教会 / ハンガリー史 / 結婚 / カトリック / キリスト教
研究実績の概要

今年度は、世紀転換期から戦間期にかけての時代を対象として、改宗の制度と全国的傾向についての既存の研究を調査し、かつ、エゲルのローマ・カトリック教会文書館の改宗関連文書の読解による事例研究を進めた。1896年以降は改宗者についての全国的統計が示されるようになった。統計から顕著なのは、1930年代まで、ローマ・カトリックでは流入者の方が多く、ユダヤ教徒では流出者の方が多いという状況がほぼ連続していたことである。世紀転換期のユダヤ教からの改宗についてはコンラード・ミクローシュが詳細に分析し、信仰心よりもハンガリー社会への同化という面が強かったと論じている。
コンラードが分析したユダヤ教からの改宗は、地理的な宗派分布に比例するかたちで、首都ブダペシュトの事例が多くを占めた。一方、エゲル大司教座では、プロテスタントとの間での改宗の事例が多い。そして、全国的な潮流と同様に、戦間期にカトリックへの改宗者数が増加していく傾向が見られた。文書の数が多く全記録を調査することはできなかったが、カトリックへの改宗の契機が明記されている中では、結婚、家族内での一致、死を前にした場合などが比較的多く見られる。カトリック教会は信徒にユダヤ教徒との結婚を認めなかったことから、両者が教会婚を結ぶ場合、ユダヤ教徒の側が改宗するしかなかった。また、他のキリスト教宗派との結婚の場合、カトリック教会は、子どもをカトリックとすることを約束しなければ祝福を与えなかった。このため、結婚の際に改宗しなかったとしても、配偶者のいずれか1人だけが家族内で宗教が異なることになり、あとで改宗する事例も見られた。家族内でのマジョリティへの同化である。改宗文書には1860年代から1918年までの会計の記録も含まれていた。少なくともこの時期には改宗者用の基金があり、支援を求める改宗者に金銭的援助をおこなっていたことも明らかになった。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (1件) 学会発表 (1件) 図書 (1件)

  • [雑誌論文] 19世紀ハンガリーにおけるヒゲと男性性2024

    • 著者名/発表者名
      渡邊昭子
    • 雑誌名

      歴史研究

      巻: 61 ページ: 15-33

  • [学会発表] 近代ハンガリーでの公教育制度の形成と学校・教育にあらわれる宗派性2023

    • 著者名/発表者名
      渡邊昭子
    • 学会等名
      教育史学会コロキウム「公教育の世俗化と宗派的多元性」
  • [図書] ヒゲの文化史 男性性/男らしさのシンボルはいかにして生まれたか2023

    • 著者名/発表者名
      クリストファー・オールドストーン=ムーア著、渡邊昭子、小野綾香訳
    • 総ページ数
      283
    • 出版者
      ミネルヴァ書房
    • ISBN
      9784623094387

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公開日: 2024-12-25  

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