研究課題/領域番号 |
19K01086
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研究機関 | 東京電機大学 |
研究代表者 |
中島 浩貴 東京電機大学, 理工学部, 講師 (00599863)
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研究分担者 |
丸畠 宏太 敬和学園大学, 人文学部, 教授 (20202335)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 戦争肯定論 / 民衆 / ふつうの人々 / 軍事雑誌 / 在郷軍人会 / 軍事団体 |
研究実績の概要 |
本研究を開始するにあたり、2019年4月21日日曜日12-17時に、東京電機大学理工学部一号館4階1409号会議室において、科研費集会を開催した。会議では、今後の研究計画の確認と予算執行、2019年度夏の訪独調査計画を決定した。 また、同年6月に本研究の前提となるドイツ帝国における軍事エリートの世界観の形成過程を論じた、研究書『国民皆兵とドイツ帝国 一般兵役義務と軍事言説 1871-1914』彩流社、2019年を出版した。 2019年8月から9月には、ドイツ出張を行った。ドイツ・ベルリン出張においては、ベルリン国立図書館(Staatsbibliothek zu Berlin)およびブランデンブルク州ポツダムのドイツ連邦軍軍事史・社会科学研究センター(Zentrum fuer Militaergeschichte und Sozialwissenschaften der Bundeswehr; ZMSBw)において、史資料の調査を行った。当地での調査では、ドイツにおける在郷軍人会ないし軍事協会に関する博士論文、諸研究の収集に加えて、第一次世界大戦以前の当該団体会報などの出版物を閲覧、複写することができた。本研究に直接寄与しうる貴重な史資料を入手することができた。くわえてドイツ軍事史研究・社会科学研究センターの研究者と直接交流し、意見交換を行う機会があり、今後の研究の進展に寄与しうるつながりができた。訪独調査においては、今回入手できなかった資料の閲覧など今後の課題も見えてきたため、再渡航する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
訪独の成果として、シンポジウム報告として「ドイツと戦略」日本クラウゼヴィッツ学会研究大会シンポジウム(国内学会・研究会)、2019年10月19日土曜日(東京電機大学千住キャンパス5号館2階5203教室) また個別の研究報告として、2020年2月19日水曜19時―21時に、「軍事的な知の範囲――第一次世界大戦前の軍事雑誌を中心に」(日本クラウゼヴィッツ学会定例研究会(国内学会・研究会)を行った。2020年3月20日土曜日には、本科研の科研集会(東京電機大学千住キャンパス)を予定していたが、コロナウィルス発生による自粛要請により、開催を延期している状況である。 前述のとおり当初計画していたドイツ出張(平成31年8-9月)によって、ベルリン、ポツダムの図書館で資料収集を行うことができたため、在郷軍人会や軍事協会における会員向けのやり取りや地域ごとの活動の状況を分析可能となった。ポピュラー・カルチャー形成の場である在郷軍人会の活動とそこでの軍事的世論形成過程の考察を行う上で、大きく前進したと考える。今後は入手した資料から研究報告、論文の作成を行う予定である。ただ、今回の調査では、地方の文書館、図書館での資料調査にまで足を延ばすことができなかったため、今後は再度ドイツを訪問し、民衆向け軍事パンフレットや、大衆娯楽的近未来戦争小説の収集に力を入れたい。
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今後の研究の推進方策 |
前年度の訪独調査において、Die Wehr. Zeitschrift des Deutschen Wehrverreins, 1912-1913.(『国防 ドイツ国防協会雑誌』)、Oldenburger Kriegsbund. Bundesblatt der Oldenburgischen Kriegervereine, 1912-1914(オルデンブルク戦争連盟、オルデンブルク軍人協会誌)、Der Hessische Kamerad. Zeitung der Kriegerkameradschaft Hassia, 1913(『ヘッセンの戦友 戦友会ハッシア新聞』)といった第一次世界大戦以前の各軍事団体に関する当時の資料を入手できた。このテキスト分析を進め、史料に含意されている意識、組織構造の論理の分析を行う。その前提となる報告はすでに行った。 今後は、ドイツでの資料収集をさらに進め、代表的な19世紀から20世紀初頭の近未来戦争小説を収集、分析し、具体的に検討していく計画が、世界的なコロナウィルスの蔓延によってドイツ訪問が難しい状況も考えられるため、この点で現実に可能な研究方策を推進していくことも視野に入れていきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
ドイツへの研究出張旅費を低減することができたため、若干の余剰費用を生み出すことができた。翌年度分の助成金と合わせて、ドイツ出張のための旅費に加える予定である。
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