本研究は、古日記天候記録をもとに歴史時代に顕著な災害をもたらした台風のコースを推定した。九州地方で風水害が相次いで発生した1828年(文政11年)について、古日記天候記録に記載されている風向の時間変化や強風、高潮の記録をもとに台風コースを推定した。また、1856 年(安政3年)9月23日-24日に江戸西方を通過し、東京湾(江戸湾)に高潮を発生させた「安政江戸台風」について台風コースの推定を行った。さらに、推定結果を長崎(出島)で観測された19世紀の気圧観測データや、関東沖の太平洋を航行していたオランダ船の気圧観測データと比較し、台風の規模・強さについての分析した。
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