4年目となる2022年度は、新型コロナウイルス感染症の影響によるプロジェクトの延長申請により、前年度から繰り越した計画に着手した。研究会は対面で継続的に実施したほか、成果物となる論集の原稿の執筆およびその相互検討を行った。論集には、本科研プロジェクトのメンバー二名に加えて、哲学・文化人類学の研究者数名を著者が新たに加わることになった。これにより、この間行ってきた研究関心を、プロジェクトを超えて展開させることができた。論集は、檜垣立哉・山崎吾郎編『構造と自然:哲学と文化人類学の交錯』として、勁草書房より2022年12月に出版された。 同成果物の出版後、さらに発展的な研究プロジェクトの企画・構想を行い、新たにメンバーを加える形で、哲学と人類学の共同研究を組織し、科学研究費補助金基盤Bの準備を進めた。そこでは、技術と制度について、異なる時間スケールを想定した複合的な秩序の解明が必要になることを研究主題として設定し、研究体制の整備を進めた。 2022年度中に発表できなかった二つの研究テーマについて、翌年に予定されている国際会議、European Network of Japanese Philosophy(ENOJP)とInternational Union of Anthropological and Ethnological Sciences(IUAES)での発表準備を進めた。 研究期間全体を通じて、哲学と人類学の共同研究の足場が構築されたことは、今後の活動を進めるうえでも大きな成果であったといえる。
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