研究実績の概要 |
本研究は、①グローバル化、情報化、リスク社会化という現代社会の特徴が司法審査にどのような影響を与えているのかを明らかにし、②そのような司法審査の姿が憲法上望ましいか否かを検討することを目的とするものであり、まずは、裁判所がどのようにグローバル化の影響を受けているかについて、生ける憲法の観点から検討した。 グローバル化の影響の結果、裁判所が国際状況を踏まえながら憲法判断をする機会が増え、時にそれが違憲判決につながることから、司法審査は積極化する傾向にある。そこで、外国における生ける憲法の概念を分析するため、令和元年度は、国際公法学会(2019 The International Society of Public Law (ICON-S) at Pontifical Catholic University, Santiago, Chile, July 1, 2019)で生ける憲法に関するパネルを組み、アメリカ、カナダ、南アフリカ、日本の現況を報告した。私はAd Hoc Living Constitution in Japanを報告し、ディスカッションを通して各国の異同を理解することができた。 また、生ける憲法論が最も盛んなアメリカの議論を理解・分析するために、『アメリカの憲法訴訟手続』(成文堂、2019年)と「現意主義――ケネディ裁判官の法思想」アメリカ法 2019(1) 1-28頁(2019年)を執筆した。
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