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2020 年度 実施状況報告書

社会的排除による権利侵害への憲法理論に関する横断的比較法的研究

研究課題

研究課題/領域番号 19K01303
研究機関東北文化学園大学

研究代表者

淡路 智典  東北文化学園大学, 総合政策学部, 准教授 (80711051)

研究分担者 杉山 有沙  帝京大学, 法学部, 講師 (00705642)
安原 陽平  獨協大学, 法学部, 准教授 (50723102)
森口 千弘  熊本学園大学, 社会福祉学部, 准教授 (70808534)
小池 洋平  信州大学, 学術研究院総合人間科学系, 助教 (50779121)
根田 恵多  福井県立大学, 学術教養センター, 助教 (70844132)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2023-03-31
キーワード社会的排除 / 人権 / 憲法
研究実績の概要

2019年度に行われた研究会により、法学における「社会的排除」に関して基礎的な共通理解が出来上がったので、2020年度はより具体的で実質的な問題の究明にあてた。人権と社会的排除の問題を考える基礎として、社会的排除を政治的な問題ではなく法的な問題として捉える可能性を、つまり裁判によって実現可能な法的主張として捉える可能性について、研究代表の淡路智典(東北文化学園大学)が報告した。その研究にて、社会的排除の問題を憲法25条(生存権)のみならず憲法14条(法の下の平等)の観点を加えることにより差別禁止という観点からの捉えなせることを指摘した。(2021年度に成文堂から刊行される『人権と社会的排除』という論文集に「法的課題としての社会的排除」という題名にて収録される。)また教育や福祉といった具体的な場面での社会的排除の扱われ方についても数々の成果を出すことができた。具体的には外国にルーツを持つ子どもたちに対する教育の場面や、精神障害者の自己決定権などについて研究業績が発表された。
しかし、昨年度から続く新型コロナの影響が長引き、非常事態宣言などにより長距離の移動が難しい状況が続き難しい状況であったため、研究会を開催することはできなかった。ただし研究者各自でオンライン環境を整え、必要なスキルを修得し、数回の打ち合わせを行ったので本格的に研究会のオンライン化の目途が立った。新型コロナの情勢に合わせて、対面での研究会とオンライン研究会を使い分けを予定している。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

2019年度と2020年度で基礎を固め、2021年度は外国へ調査に行き具体的な事例を扱う予定であった。しかし、コロナ禍で研究会は開催できず、外国での調査もかなり難しく、地域によっては実質的に不可能に近い状態である。海外渡航の目途が立たないため、研究期限を一年延長して、外国への調査のための時間を確保することも検討している。ただし、刊行予定の論文集の目途が立ったので、「(4)遅れている」ではなく「(3)やや遅れている」と評価した。

今後の研究の推進方策

3年目の目標である「諸外国の社会的排除の事例研究」を行いつつ、「社会的排除」概念の一層の精緻化を目指す。昨年度の目標であった教育・福祉・貧困政策等の具体的問題領域に関して論文提出は行われたが、十分にその成果を共有できたとは言えない状況であるので、これらの成果の共有化も適宜行っていく。今年度はドイツとアメリカでの実地調査のための費用を計上してあるが、新型コロナの感染状況次第では、実地調査は翌年度にまわして、今年度は下準備にあてることも検討している。

次年度使用額が生じた理由

新型コロナの影響で予定していた研究会を行うことができず、講師への謝金や旅費を使うことが困難であったため。また3年目に海外渡航を前提とした研究計画であり、その準備のための費用として想定した部分を、海外渡航の時期が不明確になってしまったので翌年度に繰り越すこととしたため。研究計画の1年延長も視野にいれつつ、今年度に渡航準備、翌年度に実際に海外渡航というタイムスケジュールで再計画も検討している。

  • 研究成果

    (10件)

すべて 2021 2020

すべて 雑誌論文 (9件) (うちオープンアクセス 4件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] 自己決定能力が不十分な者の生存権保障に関する「自律」の意味2021

    • 著者名/発表者名
      杉山有沙
    • 雑誌名

      帝京法学

      巻: 34巻2号 ページ: 69-110

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] The Disability Discrimination Laws in Japan and Its Challenges2021

    • 著者名/発表者名
      Sugiyama, A.
    • 雑誌名

      Teikyo Hougaku

      巻: 34(2) ページ: 111-136

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 「不当な支配」禁止原理の現段階2021

    • 著者名/発表者名
      安原陽平
    • 雑誌名

      日本教育法学年報

      巻: 50号 ページ: 60-68

  • [雑誌論文] 大学の運営・教育に関する諸問題ー大学における自治や学びは保障されているか2021

    • 著者名/発表者名
      安原陽平
    • 雑誌名

      大林啓吾編『コロナの憲法学』

      巻: 1 ページ: 200-210

  • [雑誌論文] 成年被後見人選挙権確認訴訟と知的・精神障害者の選挙権2020

    • 著者名/発表者名
      杉山有沙
    • 雑誌名

      障害法

      巻: 4号 ページ: 123-130

  • [雑誌論文] 自己決定能力と性的関係・結婚の自己決定権2020

    • 著者名/発表者名
      杉山有沙
    • 雑誌名

      帝京法学

      巻: 34巻1号 ページ: 149-190

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] 教育法学・「外国にルーツを持つ子どもたちの今」・教育実践2020

    • 著者名/発表者名
      安原陽平
    • 雑誌名

      生活教育

      巻: 857号 ページ: 21-25

  • [雑誌論文] 香川県ネット・ゲーム依存症対策条例が動き出す時2020

    • 著者名/発表者名
      安原陽平
    • 雑誌名

      法学セミナー

      巻: 790号 ページ: 44-49

  • [雑誌論文] 宗教への敵意2020

    • 著者名/発表者名
      森口千弘
    • 雑誌名

      同志社法学

      巻: 72巻4号 ページ: 607-633

    • オープンアクセス
  • [学会発表] Our Lady of Guadalupe Sch. v. Morrissey-Berru, 591 U.S., 140 S. Ct. 2049(2020)ー宗教系小学校における雇用差別の主張と司法審査ー2020

    • 著者名/発表者名
      森口千弘
    • 学会等名
      関西アメリカ公法学会

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公開日: 2021-12-27  

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