武力行使禁止原則の法的構造について、学説、戦間期における議論の再検討、国連憲章起草過程の見直し、近時の国家実行の分析を行った。その結果、国連憲章起草過程において、国連の目的と両立する武力行使は許されうる、ただしそれは安保理の事後的判断に委ねられるという米国の構想が一貫して存在する一方で、サンフランシスコ会議においては憲章に規定されたものを除いて単独主義的な武力行使は認められないという理解が示され、こうした理解の相違に関して合意がなかったと考えられること、近年の実行においても国連憲章の起草過程において見られた武力行使禁止原則の基本構造に関する2つの理解とその対立が見出されることが明らかになった。
|