キャッシュレス支払手段の浸透に伴い,その不正利用に対する立法的な解決策が喫緊の課題になっているものと考えられる。そこで,本研究は,電子マネーに着目して,保有者以外の者による無権限利用がなされた場合に,その損失を発行者と保有者との間で分担するルールについてEU指令(Directive (EU) 2015/2366)を国内法化したフランス通貨金融法典における立法例を手掛かりとして検討した。その結果,わが国では,横断的に支払手段を規制する立法が必要となっていること,無権限利用のリスクは,保有者からの無権限利用通知を要件として,原則として電子マネー発行者が負うべきことを明らかにした。
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