研究課題/領域番号 |
19K01437
|
研究機関 | 大阪経済大学 |
研究代表者 |
橋谷 聡一 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (20632706)
|
研究分担者 |
古賀 敬作 大阪経済大学, 経営学部, 教授 (10734535)
四條 北斗 大阪経済大学, 経営学部, 准教授 (60648046)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
|
キーワード | 福祉型信託 / 裁量信託 / 障がい者信託 / ヘルスケア信託 / 財産侵害の未然防止策 / 犯罪被害財産の回復制度 |
研究実績の概要 |
橋谷聡一:2022年9月から2023年8月末まで在外研究を行っていたため、論文はないが、福祉型の信託で障がいがある受益者と親族受託者との間で、受益権の給付についての紛争が問題となった事例について判例評釈を記した。特に当該信託がいわゆる裁量信託か否かについて検討をおこなっている。 古賀敬作:福祉と医療との関係性の視点より2022年度に調査研究をおこなったイギリスにおける障がい者信託に係る課税制度の法的構造の解析から研究対象の射程を広げ、福祉と医療との連携モデルとして、従業員福利厚生信託に用いられるヘルスケア信託の課税上の現状を法構造から検討をおこなった。その上で第一種類国民保険(クラス1ANIC)納付拠出納付義務と所得税の納税義務との関係性・牽連性を検証した。結果、クラス1ANICの納付拠出義務も同様に雇用主に発生するが、場合により、所得税とNICの納付義務は、雇用主が同信託に拠出時、従業員が医療費を支払った後ではなく早期に発生することがあるが、従業員にとっての利益が治療そのものではなく発生した医療費を支払ってもらう権利(保険カバーと同様)である場合であるとの知見を得、条件を解明した。 四條北斗:過年度の文献調査を基に論文を執筆した。高齢者・知的障害者および親を亡くした子どもの財産に対する侵害の状況と犯罪被害財産の回復制度の現状とその課題について整理し、現行制度の改善策と未然防止策についての提言した。具体的には、社会的弱者が被害者となった場合、被害の適時把握が困難であることや被害回復制度へのアクセス、利用にあたり障壁があることが確認された。そこで、財産回復制度と運用改善策として、損害賠償命令制度の対象犯罪の拡張と弁護士等による法的な支援制度の整備の必要性を論じ、財産侵害の未然防止策としての福祉型信託の活用可能性について論じた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究代表者の在外研究により研究の一部で遅れが見られたものの、おおむね研究テーマに沿った研究成果物が、公表または公表の予定である。 特に海外分野の研究についてはこれまでわが国であまり取り扱ってこられなかった先見性がある取り組みがなされていると考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
研究の最終年度として、結果の取りまとめや公表に重点を置きたいと考えている。学内事業とともに、または別途に複数回の研究成果物の公表機会を持ったうえで、研究の総括を示したいと考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
研究代表者が2022年9月から2023年8月末まで在外研究(中國文化大學・台湾)を行っていたため、国内で行う予定であった成果発表を開催することができなかったため次年度使用額が生じた。 2024年度は研究最終年度にあたるため、研究成果の報告等を行うとともに講演会またはシンポジウムなどを開催したい。
|