研究課題/領域番号 |
19K01449
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研究機関 | 高知県立大学 |
研究代表者 |
清水 直樹 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (20508725)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 政治的景気循環 / 選挙タイミング / 解散権 / 早期解散 / 早期選挙 / 政策操作 / 政策変更 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、日本の選挙とマクロ経済政策の分析によって、内閣による議会解散権の制約がどのような政策的帰結をもたらすのかを明らかにすることである。具体的には、①政権党が自らに有利な状況で解散権を行使することによって利益を得ているのかを明らかにする。②解散権の制約、すなわち選挙の時期が固定化されている場合、どのような制度的条件の下で、選挙時に政権党による拡張的なマクロ経済政策の実施が行われるかを明らかにする。 2022年度は、第1に、①の検討を進めた。具体的には、サプライズの衆議院の解散を社会が衆議院を解散することを予測していないタイミングでの解散として捉え、それを計測するため、『読売新聞』、『朝日新聞』、『毎日新聞』、『日本経済新聞』に掲載されている1990年以降の衆議院解散に関する新聞記事のデータを収集し分析した。その結果、2005年と2014年の衆議院の解散がサプライズの解散であることがわかった。次に、サプライズの解散が政権党に利益をもたらすのかを分析するために、1990年以降の衆議院選挙の候補者データを収集し分析した。その結果、野党の候補者擁立に不利な点が見られるものの、政権党に大きな利益はもたらさないことが明らかになった。 第2に、②の検討を進めた。選挙の時期が固定されており、かつ中央銀行の独立性が低い場合、選挙時に金融緩和政策が実施されることについては、前年度までの研究成果で明らかにされている。そこで今年度は、選挙制度の特徴を踏まえつつ、選挙の時期と財政政策の分析を行った。その結果、選挙の時期が固定されており、かつ小選挙区比例代表並立制の場合、選挙時に拡張的な財政政策が実施されることが確認できた。しかしながら、その効果は限定的であり、金融政策と比較するとほとんど効果がないことがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
「研究実績の概要」のとおり、2022年度までに①②に関連する分析を進めているからである。しかしながら、「研究実績の概要」で述べた研究成果は、まだ論文としてまとめて投稿できる段階には至っていないので、この作業を2023年度に進める。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、これまでの研究成果を論文としてまとめ、英文の学術誌に投稿する作業を進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
2022年度は、これまで学会で発表した研究をブラッシュアップし、論文としてまとめて投稿する計画を立てていたが、コロナ禍の影響で発生した業務量の増加により、論文を投稿する段階まで進めることができず、次年度使用額が生じた。2023年度は、分析に必要なデータを整備するアルバイト雇用のための人件費や、英文校正費用など論文執筆のための費用として使用したい。
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