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2023 年度 実績報告書

自治体官房系統組織の研究-都道府県における「財政課」の実態と機能-

研究課題

研究課題/領域番号 19K01460
研究機関京都橘大学

研究代表者

竹内 直人  京都橘大学, 経済学部, 教授 (60803939)

研究分担者 松井 望  東京都立大学, 都市環境科学研究科, 教授 (70404952)
研究期間 (年度) 2019-04-01 – 2024-03-31
キーワード組織と環境 / 認知的組織理論 / マニフェストの機能と官房組織 / 双対原理から相関原理へ
研究実績の概要

官房研究(主に財政部門)について、基礎理論と実務的研究の2側面で進めた。基礎理論については、サイモンの状況定義理論に着目し、状況定義概念を梃子にサイモンの組織理論の構造及びその限界についてとりまとめ、2023年度に学会発表及び論文の作成を行った。その特長は、環境と組織の相互的規定関係を明らかにし、行動論を乗り超えたことであるが、一方、その課題は、状況定義によって組織に内生化された環境概念についてデータ化することができず、操作性をもった仮説を欠くところにあることを明らかにした。この課題を解決する一つの方法論として青木昌彦の組織理論(組織ユニット情報の相関性及びタスクの補完性により情報をメタ化し、関数化する試み)に着目し、研究を進めた。この流れのなかで、経済理論からの日本型雇用研究を進め、2023年度に学会発表を行った。青木昌彦の組織理論研究については、2024年度にずれ込んだが、既に学会発表を行い、現在論文をまとめているところである。
期間中、新型コロナの流行及び個人的な心臓疾患の発症により当初計画していた財政部門への大規模なアンケート及びインタビューを計画については実施することができなかったため、文献研究による基礎理論研究に重点を移した。
このため、実務面では、自身の財政課勤務経験と限られたインタビューをもとに、政策形成過程における財政課の機能を考察し、期間中自治体計画およびマニフェストと官房組織の関係について3本の論文を発表した。また、情報処理(共有)のパターンから日米の官僚組織を比較し、米国の公務員制度における近年の職階制の見直しを進める改革の根底には、経済的な効率性を規範的な観点から抑制しようとする制度に対する反発がある点について指摘した。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2024 2023

すべて 雑誌論文 (6件) (うちオープンアクセス 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] 人事・給与の観点から考える中央・地方関係の国際比較 アメリカ合衆国(一)2024

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 100(4) ページ: 73-100

  • [雑誌論文] 人事・給与の観点から考える中央・地方関係の国際比較 アメリカ合衆国(二)2024

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 100(5) ページ: 87-108

  • [雑誌論文] 人事・給与の観点から考える中央・地方関係の国際比較 アメリカ合衆国(三)2024

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 雑誌名

      自治研究

      巻: 100(6) ページ: 未定

  • [雑誌論文] ハーバード・サイモンの組織理論の構造的特性と限界2024

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 雑誌名

      京都橘大学研究紀要

      巻: 50 ページ: 175-196

    • オープンアクセス
  • [雑誌論文] これからの自治体に期待される政策形成能力と職場内の研修2024

    • 著者名/発表者名
      松井望
    • 雑誌名

      都市とガバナンス

      巻: 41 ページ: 60-68

  • [雑誌論文] 書評佐藤直子『女性公務員のリアルなぜ彼女は「昇進」できないのか』2024

    • 著者名/発表者名
      松井望
    • 雑誌名

      自治体学

      巻: 37 ページ: 63

  • [学会発表] ハーバードサイモンと青木昌彦2023

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 学会等名
      日本政治法律学会
  • [学会発表] 日本型雇用を考える:内部労働市場とジョブ型メンバーシップ型―インセンティブ・システムと情報システムとしての組織―2023

    • 著者名/発表者名
      竹内直人
    • 学会等名
      地方行政実務学会

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公開日: 2024-12-25  

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