本研究は、現代日本において専門性に基づいて職務を行うことが期待される行政官を専門行政官と位置づけ、その人事システムの実態を分析することを目的としていた。コロナ禍により行政官へのインタビュー調査が実施できず、所期の目的を十分達することはできなかったが、文献調査やコロナ禍以前に行われた海上保安本部でのインタビュー調査によって、日本の専門行政官に求められる専門性は、メンバーシップ型任用を前提とする日本の官僚人事システムと整合的な形で修得が図られていることがあらためて明らかになった。他方で、現場で必要とされる専門性は高度に分化している場合があり、それらの連携・統合が課題になっていることが示唆された。
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