研究課題/領域番号 |
19K01482
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研究機関 | 大東文化大学 |
研究代表者 |
中根 一貴 大東文化大学, 法学部, 教授 (10600645)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2025-03-31
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キーワード | ヨゼフ・カイツル / 政治史 / チェコ |
研究実績の概要 |
2023年度では、カイツルの政治指導と同時代の政治についての考えを明確にするために、仲違いすることになる彼の盟友であった後の初代チェコスロヴァキア大統領のマサリクとカイツルの論争を分析した。「チェコの問題」論争と呼ばれるこの論争は、当時のチェコ政治で一定の関心を集めるだけでなく、現在においても研究者の関心を集めているものである。この論争の分析により、自身が積極的に関与した青年チェコ党の穏健化を積極的に評価するだけでなく、カイツルは当時のチェコ人の政治家や知識人の間では珍しくリベラリズムを強く肯定していることが明らかにされた。また、カイツルのリベラリズムに関する理解は古典的なリベラリズムからあまり外れないことも確認された。19世紀後半の社会・経済的な変容にともなう国家の役割の変化を肯定的に評価しつつも、カイツルは「小さな政府」を主張していたのである。 さらに、本研究課題の研究対象である政治変容と20世紀初頭の政党政治との関係をいっそう明確にすることを目的として、同時期のチェコ人政党政治に関する考察をまとめた概略を発表した。また、本年度もプラハにおける資料収集を実施した。 以上の成果を踏まえると、カイツルの政治指導は、ナショナリズムよりむしろリベラリズムを重視していた点から検討したほうがより明確になると考えられる。(他の大部分のチェコ人政治家と異なり)彼にとって、青年チェコ党は、チェコ人の政党であるとともに、オーストリアの責任ある政党であるべきであったのである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウィルスの流行による渡航制限による資料収集の遅れが取り戻せていない。その煽りを受けて、研究成果の発表も遅れてしまっている。
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今後の研究の推進方策 |
航空券の価格高騰、現地での物価上昇と円安を踏まえて、今年度は最低限の資料収集にとどめる。そのうえで研究成果の公表に力を入れていく。さしあたり、研究成果の紀要での発表を検討している。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルス流行のために当初予定していた資料収集を研究期間中に実施できなかったことが原因である。今年度は、その分をプラハでの資料収集のために使用する予定である。
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