人の移動をめぐる開発と安全保障の連結に関しては、一方には、人の移動をめぐる政策における理念と政策のギャップを克服すべきものとする批判的・規範的研究があり、他方には、EUの政策をシニカルなものとしてのみとらえる現実主義的な見方がある。本研究は、人の移動に関するEUの政策における開発と安全保障の相克を実証的に示し、その背景を明らかにしようとするもので研究を進展させる意義がある。本研究は治安・安全保障の要請と、SDGsを実現するという国際的公約の間で格闘するEUの事例研究を通して、日本の今後の移民・難民を取り巻く情勢政策の中で、今後とるべき政策やオプションを考える際に示唆に富むと考えられる。
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