本研究は1965年の請求権協定、90年代の河野談話やアジア女性基金、2015年の「慰安婦」合意など歴史問題に関する日韓交渉時に、双方の政策決定者が安保協力との争点連携や米国からの期待、国内世論の反応をどのように認識していたのかを明らかにした。いずれの時期においても、日韓が和解することで、「日米韓」安保協力へ弾みがつくという米国の期待を認識しており、政治的に「決着」させる意図があったことが確認された。 しかし、日本政府は「法的には解決済み」という立場を堅持する一方、韓国側の国内世論の変化や政権交代によって、その後も韓国司法で問題になるなど、歴史問題は依然として日韓関係を規定する要因である。
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