本研究では、国際連合(国連)の安全保障理事会(安保理)で決議が採択されるまでの非常任理事国の影響力について考察した。安保理での議事は軍事的な脅威に関するものが多く、決議は拒否権を持つ常任理事国が採択の際に圧倒的な影響力を持ってきた。しかし近年、難民、人権、環境、感染症などの越境的な問題を国際社会の共通の脅威と見なして協調行動をとるための決議が採択されている。そこで、本研究では、常任および非常任理事国間の交渉のうち不一致点を操作して譲歩を引き出すための対話と圧力に注目した。そして、共同行動(強制行動と協働行動)の決議採決に非常任理事国が安保理内の調整機能として機能していることを検証した。
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