研究課題/領域番号 |
19K01547
|
研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柿中 真 広島大学, 人間社会科学研究科(国), 教授 (40421234)
|
研究分担者 |
小谷 浩示 高知工科大学, 経済・マネジメント学群, 教授 (80422583)
|
研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
|
キーワード | 自発的協力 / 社会文化の垂直・水平伝承 / 社会選好 / フィールド調査・実験 |
研究実績の概要 |
開発途上国では近代化に伴い公共財供給や資源配分等社会の非持続性問題が顕著になっており、その解決には各個人の自発的協力が重要視されている。自発的協力は各個人の社会選好(social preference)と関係しており、社会選好は地域の社会文化的背景に依存している。近代化とともに社会文化的背景も変化しているが、その伝承経路は①世代間の垂直伝承と②世代内の平行伝承に大別される。本研究では、社会文化の垂直・水平伝承を明示的に組み入れた経済理論モデルを基に、開発途上国での近代化が個人の社会選好及び自発的協力行動に与える影響について、フィールドワーク(実験やサーベイ等)を通じて理論的・実証的に分析する。 令和2年度は、前年度に取り組んだ①近代化、②社会文化の伝承、③協力の動機を形成する社会選好に関する体系化・分類化を基に、理論的背景の考察を進めた。それと同時に、近代化に伴う世代間の垂直伝承と世代内の平行伝承が個人の社会選好及び自発的協力行動に与える影響について分析するため、バングラデシュ、ミャンマーやネパール、アフガニスタンなど開発途上国でのためのフィールド調査・実験を実施する予定であった。一部の開発途上国(アフガニスタン)ではフィールド調査・実験を一部実施でき、そのデータを基に統計分析を行うことができた。しかしながら、世界的なコロナ渦のため、予定していたフィールド調査・実験の大部分は実施延期を余儀なくされ、次年度以降に持ち越しとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
理論的背景の整理やフィールド調査・実験のデザイン構築は順調に進展している。その一方、バングラデシュ、ミャンマーやネパール、アフガニスタンなど開発途上国でのフィールド調査・実験を実施する予定であったが、世界的なコロナ渦のため、そのフィールド調査・実験の大部分は実施延期を余儀なくされ、次年度以降に持ち越しとなった。
|
今後の研究の推進方策 |
理論モデルの構築を進めつつ、開発途上国におけるフィールド調査・実験を通じた実証分析に精力的に取り組む予定である。具体的には、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、アフガニスタンでのフィールド調査・実験を通じて、社会文化の垂直・水平伝承を明示的に組み入れた経済理論モデルを基に、開発途上国での近代化が個人の社会選好及び自発的協力行動に与える影響について分析する。 世界的なコロナ問題がしばらく継続する可能性があるため、現地の調査チームにフィールド調査・実験を依頼することを推進する。このことは、困難が伴うものの、研究代表者及び研究分担者が有する開発途上国のネットワークを利用することによって十分可能であると考えている。
|
次年度使用額が生じた理由 |
前年度において、バングラデシュ、ミャンマーやネパール、アフガニスタンなど開発途上国でのフィールド調査・実験を実施する予定であったが、世界的なコロナ渦のため、そのフィールド調査・実験の大部分は実施延期を余儀なくされ、次年度以降に持ち越しとなった。本年度においては、開発途上国におけるフィールド調査・実験を通じた実証分析に精力的に取り組む予定である。具体的には、バングラデシュ、ミャンマー、ネパール、アフガニスタンでのフィールド調査・実験を実施する。世界的なコロナ問題がしばらく継続する可能性があるため、現地の調査チームにフィールド調査・実験を依頼することを推進する。このことは、困難が伴うものの、研究代表者及び研究分担者が有する開発途上国のネットワークを利用することによって十分可能であると考えている。
|