外部機会付きコンテストの研究

2020 年度 実施状況報告書

• 研究課題/領域番号: 19K01563
• 研究機関: 名城大学
• 研究代表者: 川森 智彦 名城大学, 経済学部, 教授 (70550531)
• 研究期間 (年度): 2019-04-01 – 2024-03-31
• キーワード: コンテスト / 外部機会 / 努力の最大化

研究実績の概要

コンテストに敗れたときに得られる外部機会からの利益をプレイヤーが内生的に減らすことが可能なコンテストを検討した．モデルの概略は以下の通りである．第1段階で，各プレイヤーは外部機会から得られる利益をどれだけ減らすかを同時に選択する．第2段階で，各プレイヤーは努力水準を同時に選択する．コンテスト成功関数（努力の組に，勝利確率の分布を対応させる関数）が指定する確率で勝者が決まる．勝者は，コンテストの賞から得られる利益を獲得する．敗者は，第1段階で減らした，外部機会から得られる利益を獲得する．
そのうえで，外部機会からの利益を減らすことが均衡で実現するかを，いくつかのコンテスト成功関数のもとで，チェックしたところ，そのようなことは起きえないという結果を得た．前年度には，努力に比例して勝利確率が決まるコンテスト成功関数のもとで，そのようなことが起きないことを確認していた．それを踏まえ，努力の自乗に比例して勝利確率が決まるコンテスト成功関数なども検討したが，均衡で外部機会からの利益を減らすことは起きなかった．
本研究に関連して，コンテストでの努力を最大化するコンテスト成功関数の設計に関する研究を進めた．コンテストの設計者がプレイヤーの賞に対する価値を，努力を通じて，搾り取ることができるコンテスト成功関数について考えた．そうした関数が存在するか，存在すればどういったものかを，コンテストの賞から得られる利益がすべてのプレイヤーについて共通か否かとコンテストの賞から得られる利益がコンテストの設計者に観察可能か否かに応じて，明らかにした．この結果を論文にまとめ査読誌に投稿した．

現在までの達成度 (区分)

3: やや遅れている

理由

いろいろなコンテスト成功関数のもとで，均衡において外部機会からの利益を減らすことが起きないか検討したが，そうしたことは起きなかったから．

今後の研究の推進方策

コンテストにこだわらず，コンテストに類した競争も含めて，外部機会からの利益を減らすことが均衡で起きないか検討する．

次年度使用額が生じた理由

新型コロナ感染症の影響から，予定したほど出張に行くことができなかったから．
コロナ禍が収まってきた後，多くの学会に出席したい．