研究実績の概要 |
今年度は、コロナ禍のため、ロンドンでの資料収集ができず、また夏に予定していた国際功利主義学会での報告が延期となり(さらに2021年1月になり、延期から中止となった)、草稿の検討は予定どおりとはいかなかったが、J.S.ミル研究者の山尾忠弘氏やロンドン大学UCLのスコフィールド氏とオンラインでの意見交換などを行ない、研究を進めた。 また2021年1月22日には、IGSセミナー「ブリテンにおけるフランス革命論争:バーク vs ウルストンクラフト」と題して、バーク『フランス革命の省察』への反論として書かれたウルストンクラフト『人間の権利の擁護』と『娘達の教育について』を検討するセミナーをお茶大で開き、19世紀アイルランド思想やウルストンクラフト研究者、バーク研究者との意見交換を行なった。 研究成果としては、ITAI Hiroaki, "Bentham on Self-interest: Institutional Control of Self-interest", A Genealogy of Self-Interest in Economics, 2021, pp.61-84.で、ベンサムの利己心に関する見解を中心に彼の経済思想的な特徴を明らかにした。 また現代のジェンダー論やフェミニズムの知見とともに、ベンサムの女性論をフェミニズムの歴史に位置づけ、その先駆性を明らかにした「ジェンダーと平等」(新村・田上編『平等の哲学入門』社会評論社、2021年)という論考を公刊した。
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