本研究は、製造業事業所の出荷額、従業員数等の情報を収録する工業統計調査と、従業員の詳細な属性情報を収録する賃金構造基本統計調査の個票データを接合し、より詳細な生産性分析を可能にする雇用者被用者マッチデータを構築した。接合率は2006年から2014年にかけて比較的高い水準を示した。生産関数推定では、事業所間の生産技術の異質性を考慮する有限混合モデルのノンパラメトリック識別の条件を確認し、最尤推定法を提案した。工業統計調査の個票データを用いた推定の結果、同一産業内の事業所間で生産関数に大きな異質性が存在することが確認され、その異質性を無視すると生産性成長率の推定にバイアスが生じることが指摘された。
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