研究課題/領域番号 |
19K01661
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研究機関 | 法政大学 |
研究代表者 |
高橋 理香 法政大学, 経営学部, 教授 (60438786)
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研究分担者 |
矢野 誠 上智大学, 上智大学, 教授 (30191175)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | Trade Liberalization / Rice / Maekawa Report / Minimum Access / CGE Analysis |
研究実績の概要 |
本研究は「国際化時代にふさわしい農業政策の推進として、市場メカニズムの活用や積極的な輸入拡大を行うべきである」と1986年に提言された前川リポートとその後に実行された農業分野の貿易政策に焦点をあて、日本の農業貿易政策の転換が日本経済にどのような影響を及ぼしたのか、コメを例に応用一般均衡モデル(CGE Model)を用いて定量的に分析している。分析の結果、日本が輸入を制限していたコメに関して1995年以降に輸入量の大幅な拡大を行った結果、コメの内外価格差は1/4に縮小し、社会厚生が約1.7%改善されることが示された。この結果は、長期的な経済停滞が続く近年の日本に対して、1980年代に行われた構造改革の重要性を示し、有効な貿易政策の在り方を示唆するものである。
2020年度は、経済産業研究所(RIETI)のディスカッションペーパー(DP)の素案に対するコメントを受け、論文を改訂してきた。まず、本研究の重要性を再考しながらイントロダクションの全面改訂を行い、その内容に従って、論文全体の構成や内容を整理・修正した。また、シミュレーションについても、パラメターの採り方を厳密にするなどの修正を行った。さらに、1995年に日本が導入したコメの最低限の輸入機会であるミニマム・アクセスとその後に導入した関税政策を本論文でどう評価するか改めて検討し、貿易自由化の意味や本研究の位置づけについて再考・修正を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2020年度は、前年度に行ったシミュレーション分析およびディスカッションペーパーの内容を改訂し、論文としての精度を高めることに集中して作業を進めてきた。改訂に予定よりも時間がかかっており、今年度は学会や研究会での報告の機会が無かった。
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今後の研究の推進方策 |
2021年度には日本語・英語の論文執筆及び改訂を行い、ディスカッションペーパーの提出・掲載を目指したい。また、続いて、日本経済学会をはじめとする学会や研究報告会での機会を増やし、査読付きの雑誌への投稿のために研鑽を重ねたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
2020年度は、新型コロナウィルス感染を懸念し、日本経済学会をはじめとする多くの学会の大会で対面開催ができず、参加した大会すべてがオンライン開催となった。従って、当初予定していた学会活動費が使用されなかった。代わりに、オンラインミーティングに必要な機材購入のための物品費が予定よりも増えたが、全体としては次年度使用額が発生することとなった。 2021年度以降は、社会状況にもよるが、研究報告の機会も増やしたいと考えており、さらに、英語論文の校正や研究協力者との打ち合わせのため、助成金を使用する機会が増えるものと考えている。
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