本研究は,これまで提案されてきた複数属性による社会厚生の評価基準を拡張するとともに,社会の厚生水準を評価・比較するための簡便かつ実用的な手法を開発した.さらに,開発した指標の地域経済や世界経済への応用事例を示すことができた. 具体的には,第一に,所得分布と公共財の自発的供給量の関係を特徴づける条件を見出した.第二に,社会厚生を評価する際に各経済主体に与えるウェイトを考慮して厚生を比較する手法の開発と地域経済分析への応用事例を示した.第三に,逐次的一般化ローレンツ支配基準の多変量への拡張と応用事例を示した.第四に,HDIやSGGs指標に基づき各国の社会厚生の順位を評価する手法を提案した.
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