本研究は、市町村合併が地域の人口成長をもたらすのかを経済理論モデルに基づいて実証分析する研究である。理論分析では、生産的公共財、自己にとってメリットの大きい公共財の供給が多い地域に、住民は移住することもわかった。実証分析では、人口と一人当たり所得は人口の純流入に正の影響があるが、合併の影響に焦点を当てると、一人当たり所得だけが純流入に正の影響を及ぼすこと、合併によって、福祉と生活保護への支出が人口の純流入を減らすが、若年層への教育支出は移住を増やすこと、合併市町村では、若者は若年層への教育支出に正の反応を示すが、高齢者は生産的公共サービスに負の反応を示すことなどが明らかとなった。
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