本研究では、社会経済的地位(SES)と学力の関係を探り、日本におけるSESの学力への影響が時間の経過とともにどのように変化するかを分析した。PISAとTIMSSという2つの国際的な学力調査データを用い、15歳時点での読解、数学、科学(PISA)、10歳と14歳時点での数学と理科(TIMSS)に対するSESの影響を推定した。その結果、両調査ともに2000年代前半からSESの影響が拡大傾向にあるという事が判明した。また義務教育は、SESの格差を起因とする学力格差を緩和する役割も担っている。しかし分析結果から、日本の義務教育は10~14歳のSESの影響を十分に緩和していないことが示された。
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