研究課題/領域番号 |
19K01724
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
中澤 克佳 東洋大学, 経済学部, 教授 (20453855)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 高齢化 / 社会動態 / 介護移住 / 介護保険 / 地方財政 |
研究実績の概要 |
2021年度(令和3年度)の研究計画としては,これまで積み重ねてきた高齢者の社会動態に関する分析や調査結果を総合し,高齢者の社会動態に関する特徴と論点を整理した上で,考察や提言を行っていくフェーズとしていた。しかしながら,新型コロナウィルス蔓延にともなう業務負担等にともない研究の進捗が遅れていたため,昨年度からの積み残した研究を進めつつ,知見を公表する作業を行った。 具体的には,査読付き英文論文として"Long-term care facilities and migration of elderly households in an aged society: Empirical analysis based on micro data," Journal of Housing Economics, 53, 2021(with Kazuto Sumita and Akihiro Kawase), https://doi.org/10.1016/j.jhe.2021.101770を刊行した。また,論説として「東京都の高齢化と高齢者の移動 高齢者はどこに行くのか」『改革者』2022.1を上梓した。上記のように研究成果を公表しつつ,引き続き高齢者の移動に関する研究を進めて学会における報告,国際査読誌に対する投稿を進めていく。 また,国勢調査の人口移動集計に基づいた高齢者の移動に関してデータ整備と基礎的な分析を行い,後期高齢者の移動は他の年代とは異なり,市町村の介護施設の充実度と関係を持つことを明らかにしている。一定の分析結果を導いているが,論文投稿のプロセスを経て査読者等から改善に向けたコメントをいただいている。そこで,コメントを受けて推定の頑健性を担保し,介護福祉政策の制度変化を織り込むこと,さらに空間計量経済学的な手法も取り入れて分析を拡充させるため,追加的なデータの収集と整理を行い,推定を進める必要がある。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2021年度は新型コロナウィルス蔓延の影響が引き続き大きく,ヒアリングや研究上の連携作業,学会報告等が十分に行うことができなかった。一方で「研究実績の概要」で示したように,国際査読誌への論文掲載や当初予定していた研究成果の公表などを行うこともできており,作業が遅れた部分と予定通り進めることができた部分が存在している。
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今後の研究の推進方策 |
一年間期限を延長し,残された研究の遂行に努めていく。具体的には①投稿したがリジェクトとなった論文の構成を再度見直して再投稿する作業,②分析が終わっている研究の論文化と投稿作業,③分析途上の研究の加速という順番で研究を整理し,順次公表を行っていきたい。また,引き続き研究成果を積極的に各種媒体で公表していく。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの影響で,国内・国際学会や研究会が中止・延期・リモート化された影響により,旅費として計上していた部分の使用ができなくなった。 また,研究に遅れが生じた影響で,英文校正や投稿料に向ける経費の執行を行うことができなかった。 2022年度は積極的に論文を執筆し,英文校正にかけていく予定である。旅費に関しては新型コロナウィルスの影響がどのようになるか次第であるが,リモートにより対応できる経費に振り替えることも検討している。
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