| 研究課題/領域番号 |
19K01753
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| 研究機関 | 金沢大学 |
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研究代表者 |
塩谷 雅弘 金沢大学, 経済学経営学系, 准教授 (70340867)
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| 研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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| キーワード | 家計債務 / 企業債務 / 資本流入 / マクロ金融 / グローバル金融循環 / 金融政策 |
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| 研究実績の概要 |
2020年度は以下のことを行った。第1は、アジア、中南米、そして欧州地域の主要な新興国を対象とした債務の規模や構成の状況についての調査と統計データ収集および整理である。これは、昨年度に引き続いて行ったもので、CEIC社やBank for International Settlements (BIS)のデータベースから債務や信用の統計データを収集し、分析可能な状態に整理し、その特徴を確認した。第2は、昨年から行っている債務決定要因に関する研究（課題１）の分析を改善させた。アジア、中南米、欧州地域の新興国を対象として、家計や企業の債務に対して資本流入が与える影響を実証的に分析し、企業部門に海外からFDIや株式資本が流入すると企業の資金需要が満たされる一方、国内銀行の家計向け貸出が増えて家計債務が増加することが確認された。この研究成果はEnya and Sugimoto(2021)としてディスカッション・ペーパーにまとめた。そして、第3は、債務増加がマクロ経済に与える影響の検討（課題２）として、新興国（アジア4か国、中南米3か国、欧州3か国）の金融とマクロの連関についてグローバルな視点から分析を行った。住宅、株式、債券の価格や金利やGDPといった金融やマクロ変数のグローバルな変動と国内的な変動が各国景気循環に与える影響を分散分解により分析し、世界金融危機時にはグローバル金融変動の影響がどの国でも大きいこと、アジア地域の新興国（韓国、タイ、マレーシア、インドネシア）はグローバル金融変動の影響が比較的小さいこと、そして中南米（メキシコ、ブラジル）や欧州地域（ハンガリー、チェコ）の新興国ではグローバルな金融変動の景気循環への影響が比較的大きいこと（例外は、コロンビアとポーランド）といった結果を得た。この研究成果はEnya et al.(2021)としてディスカッション・ペーパーにまとめた。
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| 現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
コロナ感染拡大防止対策として様々な対応が必要となり通常業務が増加し、研究時間が減少してしまった。また、コロナ感染拡大防止を受けての国際学会の開催が延期になるなど海外の関連研究者との研究交流の機会が減少してしまった。
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| 今後の研究の推進方策 |
債務の決定要因（課題１）と債務のマクロ経済への影響（課題２）の検討については、これまでの研究をさらに改善させるとともに、他の視点からの分析についても検討する。そして、これまでの分析結果から金融危機の連鎖を避けるための政策的な含意（課題３）を検討する。研究成果は適宜まとめて、国内外の学会や研究会で発表し、そこで得た助言をもとに論文の完成度をより一層高めて、学術雑誌への投稿を目指す。
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| 次年度使用額が生じた理由 |
2019年度および2020年度に実施予定であった学会参加の出張が学会延期や中止により実施できなくなり、次年度に実施することになった（予算区分「旅費」）。2020年度に購入予定であったパソコンを、次年度に購入することにした（予算区分「物品費」）。英語論文の英文校正の一部を、次年度に実施することにした（予算区分「その他」）。
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