本研究は、J-REIT(日本版不動産投資信託)の発行体である不動産投資法人のスポンサーが新規投資口公開(IPO)の際に果たす役割と、不動産市況が不動産投資法人の公募増資のタイミングや市場評価に及ぼす影響について分析を行った。まず、IPO時のスポンサーの追加出資は過小値付けと正の関係があり、過小値付けはIPO後公募増資実施を早めることが分かった。また、スポンサーの追加出資はIPO後の企業価値向上に貢献していることが示された。次に、不動産市況として不動産投資家の期待投資利回りとオフィス空室率を用いた分析結果、公募増資のタイミングと市場反応について其々正と負の影響を及ぼしていることが確認された。
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