研究課題/領域番号 |
19K01832
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研究機関 | 滋賀大学 |
研究代表者 |
岡本 哲弥 滋賀大学, 経済学部, 教授 (10411042)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2024-03-31
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キーワード | 自動車 / コンセプトカー / ノスタルジア / ネットワーク分析 / 海外進出 |
研究実績の概要 |
本年度は主に2点の研究実績がある。 第1点目は、『商品開発・管理学会誌』第16巻第2号に特集論文として掲載された研究成果である。本稿は、コンセプトカーという市場には存在しないクルマを素材にし、コンセプトカーの画像を利用して独自の調査を実施した。近年発表された6台のコンセプトカーを選定し、そのうち3台は旧車をモチーフとするものを含めた。2019年2月にインターネットリサーチで収集した520件のデータを分析したところ、主に、次の結果を導くことができた。第1に、旧車モチーフのデザインの方が通常のデザインよりもノスタルジア感が高いことが実証された。第2に、クルマのデザインにおけるノスタルジア感は、6台のコンセプトカーでいずれも購買意向などの態度にポジティブな影響があることが確認された。 第2点目は、2020年3月に開催された商品開発・管理学会第33回全国大会での研究発表である(ただし、コロナウイルス感染症拡大防止のため、講演・論文集の紙面開催のみ)。本研究では、自動車の企業グループ別の国別の生産台数のデータ(企業グループ 30 社×進出生産国 38 ヵ国)を分析した結果、次の 3 点が明らかになった。第 1 に企業グループのクラスター分析からは、中国、米国、日本の 3 国を生産拠点の基軸国とする 3 つのグループ、インドを生産拠点とするグループ、そして韓国企業の Hyundaiに分類される。第 2 に生産拠点国のクラスター分析からは、中国、米国、日本の基軸国を含む 3 つの生産国グループ、インドとパキスタンのグループ、最後に韓国を含む 5 ヵ国から成るグループに分類される。最後に、コレスポンデンス分析による企業グループと生産国の対応に目を向けると、基軸3ヵ国を中心として、企業グループの分類と生産国の分類がほぼ対応している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度の計画においては、共同所有(Sharing)については、MaaS(Mobility as a Service)として議論される中で、自動車の共有に焦点を当て、国内のカーシェアリングに着目し、企業間関係の変化を明らかにすることを目論んでいた。しかしながら、カーシェアリングによる企業間関係については、コロナウイルス感染症拡大の影響もあって大きな進展には至っているとは言えない状況にあった。そのため、研究の方向を供給連鎖の末端である消費者行動ないしはグローバルな海外進出に向けたことで、当初の予定した計画からはやや遅れることとなっている。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は5年間の計画に基づいているため、CASEの中で進捗のある課題、データの入手可能な課題など、当初予定したいた年度毎の課題を入れ替えながら、全体としてテーマが前に進められるように工夫していきたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
コロナウイルス感染症拡大によって、学会発表などの研究活動が低迷したことが差額の生じた主な要因である。 次年度の計画において、今年度の計画で未達の部分を織り込みながら研究を遂行し、予算についても使用する予定である。
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