研究課題/領域番号 |
19K01898
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
亀岡 京子 東海大学, 政治経済学部, 教授 (80589614)
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研究分担者 |
中村 亮一 東京医科歯科大学, 生体材料工学研究所, 教授 (30366356)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ユーザーイノベーション / オープンイノベーション / エコシステム / 実証実験 / 遠隔医療 / 医工連携 / スタートアップ支援 / 医療機器・福祉機器のイノベーション |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、当初、以下の3点を明らかにすることであった。 (1) 医師・看護師・介護福祉士などのプロフェッショナルなユーザーによるイノベーション創出プロセスの特徴はいかなるものか。(2) 医療・生活支援用機器・ロボット産業に携わる企業規模の特徴から、エコシステムの形成における他の産業とはどのような違いがあるのか、また、その違いが生じる要因とは何か。(3) 病院・介護施設といった組織と企業・公的機関・研究機関との組織間関係および組織プロセスはどのようなもので、公的機関による起業支援などの制度はどのような役割や効果を持つのか。 初年度である2019年度は(1)と(2)に焦点を当てる予定だったが、2019年10月から2020年3月末までデンマークでの在外研究が決まり、研究計画を変更した。特にスタートアップ企業の支援が盛んなデンマークでは主として(3)に着目することとした。 5か月半の滞在期間中、コペンハーゲン・ビジネススクールを拠点に、当該校の研究者と情報交換し、先行研究をより広範に調査し始めた。2019年11月にはデンマーク工科大学の研究所のイノベーション活動を視察し、さらに学生のアイディアをビジネスに結び付けるデンマークの産学連携のスタートアップ企業を支援する仕組みを学んだ。 加えて、デンマークの医療機関・地方自治体・スタートアップ企業を連携して、実証実験を策定・実施し、遠隔医療を支援する企業のインタビューを実施した。また、札幌に本社を置く日本企業でありながら、実証実験をデンマークで行い、製品開発を進める企業活動についても調査を実施した。これらの調査結果は2020年度上半期には取りまとめて、論文化する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画段階では在外研究の実施が確定していなかったため、日本企業を中心に質的調査を実施する予定であった。しかし、デンマークへの半年間の在外研究が決定したことにより、2019年度は前半は日本企業の聞き取り調査を中心に質的研究を行う予定だった。しかし、具体的な聞き取り調査は叶わなかった。 10月以降は、デンマークにおける具体的な調査対象が確定しないまま、デンマークに向かった。そのため、調査対象そのものを探すことに時間がかかり、予定どおりの進捗には至らなかった。 ただし、その反面、日本では気づかなかったエコシステムの存在に気づき、新たな研究対象を見つけ出すことができた。
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今後の研究の推進方策 |
次年度より、医療・福祉用の機器やロボットの開発・製造を担うエコシステムが日本でどのように形成されているのかを進めていきたい。また、世界的な感染症パンデミックの影響により、遠隔医療や在宅医療が着目されるようになってきた。2020年度より遠隔医療に関する情報通信を活かした医療機器等のイノベーションについても検討していきたいと考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
共同研究者として申請した東京医科歯科大学の中村亮一先生が体調不良のため研究を進めることができず、配分した10万円が未使用のまま残ってしまったため。 また、20,570円については、デンマークでの支払いがほとんどクレジットカード払いであったため、年度末までに支払い請求書が間に合わず、結局、自費払いとなってしまった項目がいくつもあったため。
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