研究課題/領域番号 |
19K01928
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研究機関 | 京都産業大学 |
研究代表者 |
中井 透 京都産業大学, 経営学部, 教授 (50237202)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | ファミリー企業 / コーポレート・ガバナンス / 事業承継 / 中小企業 |
研究実績の概要 |
本研究は、廃業することなく経営の移転を図る事業承継を考察対象とし、その前後におけるコーポレート・ガバナンスの実態を分析することで、所有と経営が一致するファミリー企業におけるガバナンスの実態とそれが事業承継に与える影響を明らかにしようとするものである。 この研究テーマを設定するに至った背景として、まず、日本企業が長期的視点に立って継続性を重視する経営スタイルに回帰しようとする動きの中で、ファミリー企業が研究対象として注目を浴びていることが挙げられる。また、中小企業が経営不振や後継者難に直面する中で継続性を維持するために効果的に事業承継を行うことが求められている。事業を継続して次世代に承継させるためには、どのようなガバナンスが行われるべきなのかを検討することが目的となる。 本研究は、研究代表者がこれまで行ってきた事業承継研究の中から得られた知見をもとにコーポレート・ガバナンスの視点からの考察を加え、中小企業の事業承継に「ファミリー企業のガバナンス」という評価軸を取り込んで分析を行うものである。具体的には、中小規模のファミリー企業における事業承継を研究対象とし、研究方法として中小企業のコーポレート・ガバナンスについての実態把握を行い、必要に応じてインタビュー調査を実施する。加えて、「ファミリー企業のガバナンス」について定性・定量両面からの評価基準を抽出して事業承継との関連性を探る。 2019年度(令和元年度)は中小企業、特にファミリー企業のコーポレート・ガバナンスの実態を把握すべく文献レビューを行ったが、レビューした内容を整理し、具体的イシューに落とし込む段階まで進まず、インタビュー調査を実施するまでには至っていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
2019年度(令和元年度)は中小企業のコーポレート・ガバナンスについての実態把握を行い、必要に応じてインタビュー調査を実施する。また、進捗状況次第では「ファミリー企業のガバナンス」について定性・定量両面からの評価基準を抽出して事業承継との関連性を探ることまでを視野に入れた計画を立てていた。 中小企業、特にファミリー企業のコーポレート・ガバナンスの実態を把握すべく文献レビューを行ったものの、レビューした内容を整理し、具体的イシューに落とし込む段階まで進むことができなかった。このためインタビューにおける問題意識、仮説が定まらず、インタビュー調査を実施するまでには至っていない。この点において、当初予定していた内容から遅れていると言わざるを得ない。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度については、先ずは2019年度の遅れを取り戻すべく、レビューした文献を整理してインタビューにおける仮説構築、イシューの抽出などに注力し、インタビュー調査を実施することを最優先課題に置かなければならない。 しかし、感染症の影響によってインタビューの実施には相当な困難が予想される。このことから、当面は更なる文献調査に注力し、そこから得られる知見をまとめて研究発表を行うことに注力したいと考えている。 最終的には、インタビュー調査を実施し、そこで明らかにされた内容について可能な限りクラスター化して定性的な全体傾向を探るとともに、ファミリー企業(Family Business)研究が進んでいるアメリカの研究者との意見交換を行うことで、必要に応じて新しい考え方、分析視角を取り入れていくことを考えている。
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次年度使用額が生じた理由 |
当初予定していたインタビュー調査や、中小企業支援団体との交流を目的とした出張が十分に行えなかったことと、それにともない物品費が発生しなかったことが主たる理由である。 使用計画については当初の予定通り行うが、感染症の終息状況次第では出張計画を年度後半に集中させることも視野に入れている。
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