本研究は事業承継を考察対象とし、その前後におけるコーポレート・ガバナンスの実態を分析することで、所有と経営が一致するファミリー企業におけるガバナンスの実態とそれが事業承継に与える影響を明らかにしようとするものである。 2023年度(令和5年度)は、研究期間の再延長申請が承認されたことで、科学研究費助成研究課題の5年目(最終年度)となった。5年目においても中国・武漢で発生した新型ウイルスの影響で企業訪問が一部制約されたものの、学会が対面にて開催されるようになり、研究者同士の意見交換などを行いながら研究成果の報告を行うことができた。 具体的には以下のごとく学会活動と論文の公表を行っている。学会活動として、「財務管理における企業の持続可能性の追求」と題した統一論題(日本財務管理学会第57回秋季全国大会@追手門学院大学、2023年11月11日)において司会・モデレーターを務めた。 論文については、「SDGs時代の企業経営と財務」と題する日本財務管理学会の統一論題報告としてイノベーションに焦点を当てた定量分析報告を行ったが、これをまとめた考察である“Innovation for Sustainable Business Succession”(『年報財務管理研究』(日本財務管理学会)第34号、29-39頁、2023年5月)を公表している。 トータルで5年となった期間全体を通して見ると、この間の成果としては、論文6本(査読論文なし)、全国大会での学会報告1回、共著書の改訂版出版1回となっている。これらの研究活動をとおして、当初予定していた目的は概ね達成できたと考えている。
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