研究課題/領域番号 |
19K01968
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
李 キョンテ 東洋大学, 経営学部, 教授 (40453857)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | マテリアリズム / ボランタリーシンプリシティ / 対人的影響 / 生活満足度 |
研究実績の概要 |
本研究では所有権の移転を伴わないアクセス型消費について、物質的消費志向(マテリアリズム:物質主義)、節制的消費志向(ボランタリーシンプリシティ:自発的簡素)、シェアリングサービス要素、対人的影響、ウェルビーイング(生活満足度・幸福感)などの概念を用いて検討している。 初年度の2019年度には構成概念と概念モデルの精緻化に向けて研究を行った。特に鍵概念の中で、マテリアリズム、ボランタリーシンプリシティ、対人的影響、消費者の生活満足度に焦点を当てた。具体的に、マテリアリズム、ボランタリーシンプリシティ、生活満足度に関する検討を深め、その成果を論文「消費者の自発的簡素と物質主義が生活満足度に及ぼす影響」(『商品開発・管理研究』第16巻第1号)の査読過程で、原稿を修正・再投稿する際に反映した。同論文は本研究課題で科研費を申請する時期から行っていた予備的研究の一成果である。また、ボランタリーシンプリシティに関する研究の成果をまとめ、第53回International Business Research Conference(於:Monash Conference Centre, Melbourne, Australia)で研究発表を行った(2019年11月22日)。報告タイトルは「Does Voluntary Simplicity Matter in Online Shopping Behaviour?」であった。当該報告では、共有経済下のアクセス型消費に欠かせないオンライン環境の文脈で、ボランタリーシンプリシティがどのような役割を果たし得るかについて探索的に論じた。さらに、マテリアリズムと対人的影響がアクセス型消費に対する反応に与える影響についても調べるなど、複数の主概念に関する理解を深めるとともに、それらの相互関係を検討した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究の中核的な構成概念である消費者のマテリアリズム、ボランタリーシンプリシティ、対人的影響、そして生活満足度(ウェルビーイング)に関する検討が一定の程度進んだと考えられる。またその結果を部分的ながら研究成果へ結びつけることができた。 ただし、2019年度には学科長を拝命するという、科研費申請時には想定できなかった出来事があった。学科長関連の業務が急増する中、当初予定していた研究時間の確保が危ぶまれるときもあった。初年度は文献研究の比重が大きかったこともあり、研究の進捗状況をおおむね順調に保つことができたと思われるが、本格的な実証調査の段階に入る2年目には、研究と学務等の両立に一段と気を配る必要があると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
2年目は実証的な調査と分析に向けて注力したい。1年目の研究成果を踏まえつつ、シェアリングサービス要素、ならびに、アクセス型の共同消費に対する知覚価値と信頼度について検討を進め、分析モデルと測定尺度を確立する。そのうえで調査会社の協力を得て、一般消費者を対象にデータ収集を行う。データは構造方程式モデリング等を駆使して解析する計画である。 なお、2020年度にも引き続き学科長を務めることが決まり、関連業務が科研費申請時の想定より多くなることが見込まれる。研究と学務の時間的塩梅をいっそう効率的に調整できるよう努めたい。
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次年度使用額が生じた理由 |
物品やその他関連の実際の支出額に予定と差が生じ、7,279円が次年度使用額となった。この金額を翌年度分の助成金と合わせ、実証調査と関連した費目に使用する計画である。
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