研究課題/領域番号 |
19K01968
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研究機関 | 東洋大学 |
研究代表者 |
李 キョンテ 東洋大学, 経営学部, 教授 (40453857)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2023-03-31
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キーワード | 共有経済 / コラボ消費 / アクセスベースド消費 / ボランタリーシンプリシティ / 物質主義的価値観 / 対人的影響 / シェアリングサービス |
研究実績の概要 |
共有経済における共同消費(collaborative consumption:コラボ消費)の先行要因と結果について、以下の研究を実施した。 第一に、「ライフスタイルの手段‐目的理論」並びに「ライフスタイル特性研究の理論的枠組み」に依拠して、ボランタリーシンプリシティ(VS)ライフスタイルが、カーシェアリングサービスに対する知覚便益(経済的・感情的・環境的)を経由して、利用意図に与える影響を分析した。その結果、VSは簡素生活・倹約生活・計画購買に分けられ、特に前者の二因子が知覚便益を高めた。知覚便益はいずれも利用意図を高めたが、その中でも感情的便益の効果が目立った。この研究により「多次元のVS‐知覚便益‐利用意図」の理論的メカニズムが実証された。 第二に、アクセスベースド消費(ABC)概念を導入し、対人的影響とデモグラフィック属性がアパレルシェアリングサービスの利用意図に及ぼす影響を検討した。構造方程式モデリングと多母集団同時分析の結果、規範的かつ情報的に影響を受けやすい人は、ABCの意図も高いことが分かった。ただし、前者の効果は性別によって調整され、後者の効果は年齢によって調整された。 第三に、ファッション製品と家電製品のコラボ消費を対象に「Quality-Value-Satisfactionチェーン理論」を導入して、「プラットフォーム品質→知覚価値→満足」の関係を検証した。偏最小二乗構造方程式モデリングの結果、プラットフォーム品質は知覚価値と満足を有意に説明した。知覚価値の中では、アパレルと家電を問わず、快楽性の効果が著しかった。一方、ファッション製品のコラボ消費では、物質主義的な価値観が、製品・サービスを探索する傾向を経由して、コラボ消費の意図に影響を与えることがわかった。 以上のように2021年度の研究では、コラボ消費行動のメカニズムを多角的な視点と文脈から解明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
共有経済における共同消費(コラボ消費)の先行要因と結果を多角的に分析できており、概ね順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
研究課題の最終年度である2022年度には、これまでの研究成果を踏まえながら、共有経済における共同消費(コラボ消費)の結果に着目した研究を行う。特に、コラボ消費が生活満足や消費者ウェルビーイングと結びつくのかどうか、もし結びつくのであれば、どのような要因や条件、そしてメカニズムによってその関係性が成り立つのかを追究する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
感染症による社会情勢と学内業務上の変化によって、2020年度に達成度がやや遅れたことが影響している。 2021年度にはある程度遅れを取り戻して順調に進んでいるが、当初予定していた調査・分析が完結してはいない。 2022年度には「今後の研究の推進方策」に記した調査と分析に次年度使用額を支出する予定である。
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