研究課題/領域番号 |
19K01977
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
伊藤 秀和 関西学院大学, 商学部, 教授 (30368451)
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研究期間 (年度) |
2019-04-01 – 2022-03-31
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キーワード | 自動車産業 / 部品調達 / ロジスティクス / 在庫管理 / 国際比較 |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、需要変動が激しく、かつ在庫費用が莫大な自動車産業において、国内外の遠隔地に立地する組立工場に対して、部品サプライヤーがどのように空間的懸隔を克服しJIT生産を達成しているのか、各メーカーおよび調達物流を担う物流企業のロジスティクス戦略に着目し、ヒアリング・現地調査およびデータ分析を通じてその仕組みを明らかにすることである。 2020年度は、研究代表者の在外研究期間(1年間)を利用して、フランス・パリを拠点に欧州・北アフリカ等でのヒアリング・現地調査を進める予定であったが、新型コロナウィルスの感染拡大により滞在不可能(入国制限措置)な状況となった。また、国内組立・部品工場においても、同じく感染防止のため、ヒアリング・現地調査はごく僅か(小規模な部品工場で)しか実施できなかった。 そのため、本年度は以下の3点を行った。 (1) これまでの調査結果を基に、遠隔地立地の組立工場に対する部品調達での輸送手段選択、具体的にはフェリー・貨物鉄道等、環境負荷の少ない輸送手段と従来のトラック輸送、に関する論文を纏め、国際学術雑誌へ投稿を行った(現在は査読中)。 (2) 新型コロナウイルス感染拡大の影響、特に生産活動停止や販売店の営業停止など、経済活動の停滞が自動車生産、およびそのサプライチェーンに与えた影響に関して、各種情報収集・分析を進めた。 (3) 自動車産業ポータルMARKLINESが提供する「情報プラットフォーム」の部品サプライヤー情報を利用し、新興工業経済地域、特にASEANを中心に、自動車ブランド別の部品調達ネットワークの実証分析を進めた。現在までのところ、いわゆる系列サプライヤーのみならず、異なる(提携等を行っていない)メーカーのブランドへ複数供給する独立サプライヤーの存在など、組立工場立地や供給部品による違いが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
当初計画では、海外組立メーカー・部品サプライヤー、さらには物流企業を対象とした事例調査を2020年度に集中して行う予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、海外でのヒアリング・現地調査が一切行えなかった(国内では一部実施)。 2020年度は、上記の通り、当初計画を大幅に変更し、新型コロナウィルス感染拡大による自動車産業への影響の情報収集・分析と部品サプライヤー情報による調達ネットワーク分析を行った。
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今後の研究の推進方策 |
現時点においても新型コロナウィルス感染拡大およびその防止措置の影響は大きく、2021年度内のヒアリング・現地調査は難しいことが予想される(多くの国で依然として入国制限措置、また一般的に工場等への部外者立入禁止、併せて所属研究機関のガイドラインにより海外出張が不可能)。 一方で、2021年度は補助事業期間の最終年度となるため、感染状況を踏まえ期間延長を検討する必要がある。併せて、調達ネットワーク分析を継続し、生産国の違い、特に現地サプライヤーの発展状況や系列サプライヤーの進出状況、や調達部品の違い、特に代替可能な汎用財や高付加価値財の違い、など、詳細な実証分析に発展させ、2021年度内に国際学術雑誌に投稿したい。
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次年度使用額が生じた理由 |
新型コロナウィルスの感染拡大により、2020年度は海外でのヒアリング・現地調査が不可能であったため、研究経費の半分以上を占める旅費の支出が計画通り行えなかった。一方で、上記の通り、当初計画の一部変更を行い、(比較的高額であるが)自動車産業ポータルMARKLINESが提供する「情報プラットフォーム」を2020年度から利用開始し、2021年度も継続利用予定である。 感染拡大・収束状況も踏まえ、また事業期間延長を含め、国内外でのヒアリング・現地調査を再検討したい。
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